2021 Fiscal Year Research-status Report
Positive Keyboard: A New Approach to Positive Psychological Intervention on Well-being with Text Entry
Project/Area Number |
20K11904
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
郷 健太郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50282009)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 吉屹 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30726667)
福本 文代 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60262648)
木下 雄一朗 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (70452133)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 文字入力 / ウェルビーイング / ポジティブ心理学 / 介入 / キーボード |
Outline of Annual Research Achievements |
ポジティブな気分や行動,認知を高めることを目指す治療法や意図的な活動を,ポジティブ心理学的介入という.この介入の効果として個人の主観的幸福度を高めることが可能なことが,近年の研究により明らかになりつつある.しかし,従来のポジティブ心理学的介入は,専門家による指導やユーザによる意識的な継続が必要であり,その実行負荷が非常に大きい.そこで本研究では,一般の生活者の日常的な情報行動である「文字入力」に焦点をあてる.予測文字変換の変換文字候補としてポジティブな評価極性をもつ用語を戦略的に提示することによって,ユーザにポジティブな内容の作文を促す.すなわち,日常的な情報行動を行うだけで,大きな負荷がなく自然とポジティブ心理学的介入の効果が期待できる.このような介入を行うキーボードを開発し,その有効性を評価する.具体的には,以下の3つのプロジェクトを実施する:(1)ポジティブ・ネガティブ語から構成される辞書及び課題文集合の開発と,それらを使った主観的幸福度の計測,(2)スマートフォン用のジェスチャキーボードの開発と,ジェスチャと主観的幸福度の関係の解明,(3)入力語の評価極性に基づくポジティブ語候補の表示システムの開発と評価. 2021年度には,前年度までに開発した評価環境を使って,ユーザによる実生活での文字入力評価実験を行った.具体的には本学における情報システムを使って被験者を募り,本プロジェクトで開発したアプリをインストールしてもらって,実生活のなかで自由にSNSにメッセージを送って(ツイートして)もらった.あわせて,ユーザには,主観的幸福度を定期的に調査する質問紙への回答を求めた.これらのデータを分析したところ,本プロジェクトで開発したキーボードでの介入の効果が認められることが明らかになった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の仮説を検証するために開発したシステムを使って,実生活での評価実験を行うことができ,その結果として本システムを使って仮説の検証を行うことができた.また,これらの結果を国際会議論文として公表することができた.加えて,研究成果を小学生向けに説明する講演会に参加して,本研究の意義と成果を多様な年代層へ公表した.さらに,実験データを分析する過程で,新たな研究課題を探索することができた.以上のことから,おおむね順調に進展していると判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,これまでに開発した評価環境をもとに追加での実験に取組み,ポジティブ・ネガティブ語から構成された辞書を使った文字入力システム使用時の主観的幸福度の変化を計測する.そしてこれらのさらなる精緻化を進める.前年度の実験の結果から,ユーザが入力を意図したネガティブ語に対する変換候補の効果が明らかになったため,変換語だけではない多様性のあるポジティブ表現を検討する.あわせて,ネガティブ・ポジティブ語から構成された英語版辞書の開発に取り組む予定である.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大によって,当初想定していた対面で行う評価活動が困難となったことが,計画的な使用に対して影響を与えた.一方で,評価方法や評価実験の説明会をオンラインに変更したことによって実験実施を可能とした.これによって研究経費の使用計画との違いを最小限に留めることができた.さらに,国際会議への投稿論文の審査結果により一部の参加費用が不要になったことと,国際会議のオンライン参加により参加費が減額となり,さらには渡航旅費の使用が発生しなかったことで次年度使用が生じることとなった.次年度には,これらの研究費を有効に活用して,システムの改良と追加での実験,成果の公表を精力的に進める予定である.
|
Research Products
(6 results)