2020 Fiscal Year Research-status Report
The influence of additional novelty by the stimulus change on mere exposure effect
Project/Area Number |
20K12030
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
松田 憲 北九州市立大学, 大学院マネジメント研究科, 教授 (10422916)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70195444)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 単純接触効果 / 倦怠効果 / 親近性 / 新奇性 |
Outline of Annual Research Achievements |
刺激への反復接触によって当該刺激に対する好意的反応が増す単純接触効果(Zajonc, 1969)において,過度の反復呈示は刺激への心的飽和が生じて好意度の上昇を妨げることが知られている(Bornstein et al., 1990)。 そこで我々の行った先行研究では,反復呈示時に刺激に新奇要素を付加することで倦怠効果を低減させた。具体的には,松田ほか(2014)では,自動車画像の反復呈示時に,背景が毎回同じ画像である条件と毎回異なる条件で操作し,画像の反復呈示によって生じる自動車への親近性及び背景変化によって付加される新奇性が,当該自動車への単純接触効果に与える影響を検討した。その結果,呈示ごとに背景が変化した自動車の方が,背景が同一であった場合よりも,反復呈示によって好意度評定値が上昇した。 また,松田ほか(2019)では,女性アバターを反復呈示する毎に化粧を変化させて新奇性を付加させることで,化粧を変化させなかったアバターと比較して,より好意度が上昇することを示した。しかしこの実験では女性参加者のみで事前好意度が高いアバターへの単純接触効果を促進させたものの,男性参加者にはこのような結果が見られなかった。その原因として,化粧変化が男性にとって身近ではなく,刺激間の変化量の小さかったことが考えられた。 そこで本年度に行った実験では,男性にとっても身近であると考えられる髪型を変化させることで,両性別の参加者に対して単純接触効果が生じるかの検討を行った。 本研究の意義は,従来の単純接触効果研究の中でほとんど検討されてこなかった反復接触時の新奇性要素について検討している点にある。また,本研究で得られる成果は社会心理学や経済学,消費者行動といった様々な研究領域において,対人印象形成や好意度以外の感性評価全体への適用,マーケティングにおける製品戦略や広報戦略などへの応用が可能となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に行った実験では,呈示刺激は男女のアバター画像で,事前に行われた予備調査に基づいてアバターの反復呈示前の事前好意度を高低で操作し,髪型は好意度評価が中程度なものを用いた。実験は全部で9つのセッションからなり,評定フェーズであるセッション1,5,9では,参加者は呈示されたアバターに対する事後好感度(反復呈示後の好意度)と親近性,新奇性を9段階で評価した。接触フェーズであるセッション2,3,4,およびセッション6,7,8では,アバターが連続呈示され,半数のアバターは接触ごとに髪形が変化し,もう半数のアバターの髪型は変化させなかった。実験の結果,女性参加者は,事前好意度の高い女性アバターへの事後好意度において髪型変化と接触頻度の交互作用が有意であり,事前好意度低条件では有意傾向であった。また男性アバターに対しては髪型変化条件における事前好意度と接触頻度の交互作用が有意であった。一方で,男性参加者においては,化粧を変化させた先行研究と同様に,髪型変化による新奇性付加が単純接触効果を促進させる効果は見られなかった。 本実験は,当初は対面による個別実験として行う予定であった。しかし,コロナ禍によって対面での実施が不可能となった。そこで,参加者には自宅のPCを使用してオンライン実験に参加してもらった。その際に,刺激の呈示を動画で行い,尺度(好意度,親近性,新奇性)の評定はGoogleフォームを用いた。独立変数ごとの刺激の組み合わせや呈示順のカウンターバランスを行うために,刺激呈示の動画を複数用意し,参加者をランダムに振り分けた。次年度以降も,対面での実施を理想としているものの,本年度と同様に対面実施が不可能となった場合には動画での刺激呈示とGoogleフォームでの回答で行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本実験ではアバターの髪型変化による新奇性付加が単純接触効果に及ぼす影響について検討したが,その結果は松田ほか(2019)の先行研究と同様に,刺激反復呈示時の新奇性付加による好意度の上昇効果は女性参加者のみで見られる一方で,男性参加者にはそのような効果は得られなかった。 先行研究では反復接触時の新奇性付加の効果が女性参加者のみに見られたことについて,新奇性要素が男性参加者にとって馴染みの薄い化粧によって行われたこと,さらには新奇性要素を付加させた際の刺激の変化量が小さかったことによると解釈された。そこで本年度に行われた実験では男性にとっても身近であり,化粧と比較して付加させた際に刺激に生じる変化量の大きい髪型を新奇性要素として用いて行われた。しかし前述したように本実験でも男性参加者に効果を見出すことが出来なかった。 そこで今後の実験では,この結果の妥当性を検証していく。付加させる新奇性要素が参加者にとって身近なものであるか否かに関わらず同様の結果が得られるかを検証するために,化粧や髪型以外の要素,たとえば服装やアクセサリー等を用いて実験を行う。また,新奇性付加による刺激の変化量や変化頻度を操作した実験や,IATを用いた潜在指標の測定も行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
当初は実験を複数台のPCを用いた対面状況で行う予定であったが,本年度はコロナ禍の影響で動画やGoogleフォームを用いての遠隔実験へと変更して行った。そのため,当初購入を予定していたPCが次年度以降に先送りされたこと,また参加予定であった学会が遠隔開催となったことがその理由である。 使用計画としては,次年度以降の対面実験および分析用のPCの購入費用としての使用,さらには予定していた国際学会への参加を,参加時期をずらして行うことで旅費として使用していく予定である。
|
-
-
[Journal Article] Attenuating pain with the past: Nostalgia reduces physical pain2020
Author(s)
Kersten, M., Swets, J. A., Cox, C. R., Kusumi, T., Nishihata, K., & Watanabe, T.
-
Journal Title
Frontiers in Psychology
Volume: 11
Pages: 1-7
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-