2023 Fiscal Year Annual Research Report
Radiopathological analysis of Japanese macaques affected by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident
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20K12173
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
福本 学 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 客員主管研究員 (60156809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 剛 学習院大学, 理学部, 教授 (40452007)
山本 直樹 藤田医科大学, バイオリソース室, 教授 (00267957)
鈴木 正敏 東北大学, 災害科学国際研究所, 講師 (60515823)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 福島原発事故 / 野生ニホンザル / 水晶体 / 白内障 / 徹照法 / 放射線病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
眼の水晶体の混濁である白内障を起こす原因のひとつに放射線被ばくが知られている。最近、白内障を引き起こす線量は以前考えられていたよりも低い可能性が示唆されている。そこで、福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故由来の放射性物質による長期低線量率被ばくの影響を知るために、2016年から2022年にかけて福島第一原発周辺で採取した野生ニホンザル(被災サル)114頭の眼球を解析した。個体捕獲後に白内障の有無を確認するために網膜へ光を当てる徹照法を野生ニホンザルに適用できるようなになった。数頭の徹照画像において、白内障にみられる水晶体皮質浅層のY 字縫合の明瞭化、および液胞が観察された。同個体水晶体の免疫組織学的な検討を行ったところ、これらの液胞周囲には、糖尿病白内障でみられるアクアポリン 0 (AQP0) と AQP5の蓄積が観察されなかったことから、水晶体の液胞形成における異なる原因が示唆された。水晶体所見を伴う個体群の線量は、所見のない群に比較して、外部および内部放射線量ともに有意に高かった。同一条件での実験が不可能であるフィールドワークに固有の限界があるものの、放射線に起因する白内障の可能性は否定できない結果となった。 本研究全体の成果として、長期低線量率放射線に被ばくした被災サルに、①甲状腺の増殖性病変を認めたが被ばく線量とは相関していなかった。②精巣においては非被災サルに比較して著明な差は認めなかった。③白内障様の変化を認めた。これらは、放射線に感受性が高いと言われていた臓器の間にも、放射線の生物影響について一般化できる変化はなく、臓器特異性を考慮した詳細な解析が必要であることを示している。
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Research Products
(14 results)
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[Presentation] 福島第一原発事故で被災したニホンザル筋肉中の放射性セシウムの比放射能分析2023
Author(s)
小菅楽, 岩見聡音, 尾田晃平, 木野康志, 山下琢磨, 石川諒椰, 礒部理央, 佐藤拓, 鈴木正敏, 千田浩一, 福本学
Organizer
第25回環境放射能研究会
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