2022 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of new knowledge on global warming countermeasures using domestic edible fuel biomass
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20K12247
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
鈴木 高広 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (60281747)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光合成効率 / 多層栽培 / 甘藷 / ポリフェノール / 下水汚泥 / メタン / 紫外線 / 根圏灌水栽培 |
Outline of Annual Research Achievements |
甘藷は、強い日射下では葉のサイズが小さく、ポリフェノールや色素の含有率を高め、光酸化作用を低減していることが明らかとなった。また、採光率が低い場合は、葉面が暗色化しサイズを拡張することで光の吸収率を高め、実質採光量に対する収率が高まることが分かった。そこで、甘藷の光合成効率に対する紫外線(UV)と近赤外線(NIR)の影響を解明するため、遮光フィルムを用いて日射UVとNIRを制限し、また、葉に日焼け止め化粧品を塗布しUVの影響を緩和し生育挙動を調べた。その結果、日射UVを緩和すると茎葉が旺盛に繁茂するが、塊根の肥大化が抑制されることが判明し、強いUVが塊根の肥大化を促進するストレス要因であることを見出した。また、夏季のNIRは土壌や茎葉を過熱し、生育を抑制することが判明した。 下水処理曝気槽の排気を供給しCO2濃度を1000ppm前後に高め密集栽培を行った結果、茎葉が旺盛に繁茂したが、塊根の肥大化促進効果は認められなかった。茎葉の過剰繁茂が相対的にUV強度を低下し、塊根の肥大化が抑制されたと考察された。 一方、下水汚泥と甘藷の混合消化条件を検討し、各基質のメタン変換率を解析したところ、茎葉も塊根もほぼ全熱量をメタンに変換できることが明らかとなった。下水を液肥として甘藷を大量生産すると共に、嫌気消化法によりメタンに変換すれば、甘藷・メタンから水素燃料の大量生産も可能であることを示す成果となった。 以上の結果、根圏灌水多層栽培法を用いて甘藷・メタンの生産性を年間200MJ/㎡(光合成効率4.0%)に高められることを実証し、これまで熱帯地域において報告されたサトウキビの最大生産性170MJ/㎡を上回る世界最高効率を達成した。また、年間光合成効率をさらに高められることも明らかとなった。これらの成果により、甘藷バイオマスによる地球温暖化対策に関する新たな知の創出に成功した。
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Research Products
(11 results)