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2020 Fiscal Year Research-status Report

環境リスク問題に関する報道が個人のリスク認知およびリスク回避行動に与える影響

Research Project

Project/Area Number 20K12310
Research InstitutionMukogawa Women's University

Principal Investigator

岸川 洋紀  武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (70469071)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsリスク認知 / リスクコミュニケーション / メディア報道 / 記事見出し / COVID-19
Outline of Annual Research Achievements

リスク認知やリスク回避行動へメディア報道が与える影響について検討するため,2019年度に行った大学生を対象とした調査データの再分析を行うとともに,2020年11月には新型コロナウィルス関連報道の記事見出しによる影響を見る目的で大学生を対象とした調査を行った。
2019年調査の再分析の結果,以下の点を明らかにした。1)リスクへの対策の実施の有無はリスクの季節性に影響を受けるものの,危険度の認知や対策の要求は調査時期に関連しないことがわかった。2)リスク情報の入手頻度はリスク認知や対策行動へ極めて強く関連していることが明らかとなった。3)メディアの利用状況とリスク情報の入手の関連においては,食中毒や食品添加物といった食品関連のリスクでネットメディアの利用との間に関連が認められた。
2020年調査の分析の結果,以下の点を明らかとした。1)新型コロナウィルスの経済への影響に関する記事において,見出しが異なることで印象に残る項目に違いが生じることが確認された。2)見出しが誤ったものである場合,記事の解釈を間違ったものとする影響が確認された。3)経済的な影響や感染症の感染リスクの主観的な認知と記事の見出しは関連していなかった。4)経済影響に関する記事を正しく読めている回答者は,リスク認知が高い傾向が示された。5)ワクチン臨床試験参加者の死亡に関する記事においては,見出しと記事の解釈との間に部分的な関連がみられた。6)記事の見出しが異なることで,ワクチン接種の意思などに違いがでることがわかった。7)臨床試験に関する記事を正しく解釈した回答者はワクチンの安全性を高く評価する傾向が示された。
以上の結果は調査対象が大学生と限定的ではあるが,2021年度,2022年度に実施予定の社会調査の調査設計において基礎的なデータとなることが期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2020年度は新型コロナウィルスの影響により,大学での遠隔授業の実施など今までの年度とは異なる対応を余儀なくされ業務も大幅に増加したため,結果として研究エフォートを減少させざるを得なかった。
また,2019年の研究計画時点では,日常のメディア報道がリスク認知や被害回避行動へ与える影響について分析を行うことを計画していたが,2020年初めからの新型コロナウィルスの感染拡大は2021年度に入っても収まらず,むしろ悪化している。メディア報道もコロナ関連の情報が多くを占めることになり,感染拡大の状況やメディア報道の様子を見ながら調査計画を修正する必要に迫られているため,当初の予定よりやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

2021年度は2020年度に行った調査データの分析結果をふまえて,webによる大規模な調査を実施し,メディア報道とリスク認知やリスク回避行動との関連を検討する計画である。
当初の研究計画においては代表的なリスク項目に対して日常の報道が与える影響を見る計画であったが,新型コロナウィルスの感染拡大により,メディア報道もコロナ関連に大きく偏り,人々のリスク観も2019年度までとは大きく変わっているため,当初の予定から調査計画を修正する。
具体的には,調査対象とするリスク項目を健康影響だけでなく経済的な影響なども含めた新型コロナウィルス関連のものを中心とする。その上で,人々がどのようなメディア媒体からどの種の情報を得ているかの傾向を把握するとともに,健康や経済影響などの情報を得た際に,どのような種類の情報がリスク認知や日々の行動へ大きく影響を与えたのかを検討する。その結果をもとに,人々の新型コロナウィルスへの心理や行動が何によって決定され,その中で日々のメディア報道の占める位置づけはどの程度であるか検証する。また,新型コロナウィルス関連報道については,メディアの過剰な報道や偏った報道に対しての批判的な意見も多い。新型コロナウィルス問題についてリスクコミュニケーションは残念ながらうまく言っているとは言い難いが,人々がパンデミック時にメディア報道へ何を期待しているのかについても調査を行い,今後のリスクコミュニケーションの改善につなげる情報を得る。

Causes of Carryover

新型コロナウィルスの感染拡大による影響で2020年度の調査の実施が11月と遅い時期にずれこんでしまったため,データ分析のスケジュールが遅れ未使用額が発生した。2021年度にデータ分析の続きを実行し遅れを取り戻すが,その際にデータの保存メディアなどが必要となるが次年度使用額を割り当て購入する計画である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 環境報道へ接する頻度と調査時期がリスク認知および対策行動へ与える影響2020

    • Author(s)
      岸川洋紀
    • Journal Title

      日本リスク研究学会第33回年次大会講演論文集

      Volume: 33 Pages: 79-84

  • [Presentation] 環境報道へ接する頻度と調査時期がリスク認知および対策行動へ与える影響2020

    • Author(s)
      岸川洋紀
    • Organizer
      日本リスク学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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