2021 Fiscal Year Research-status Report
Following the Tracks of a White Russian Family in Eurasian Modern History: A Case Study of Effective Utilization of a Private Family Archive
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20K12320
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
帯谷 知可 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (30233612)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 白系ロシア人 / ウズベキスタン / 日本 / ロシア / ソ連 / 東京外国語学校 / アレクサンドル・ミチューリン / ニーナ・ミチューリナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ロシアから満州を経て日本に到来し、東京外国語学校でロシア語教師として勤務したアレクサンドル・ミチューリンとその夫人ニーナが残した家族アーカイヴがウズベキスタンの民間に保管されていることが判明したのを受け、当該アーカイヴの保管者であるL.コザエヴァ氏と共同でそれをカタログ化・データベース化すること、また、夫妻の移住と帰還をユーラシア現代史の中に位置づけ、白系ロシア人のソ連の非ロシア地域への帰還の実態と意味を考察することを目的としている。 2021年度は、引き続き新型コロナ・ウイルスの感染拡大によって海外渡航ができなかったことから、当該アーカイヴが所在するタシュケント市(ウズベキスタン)への出張、アーカイヴに含まれる資料の本撮影、ミチューリン夫人と親交をもった人々へのインタビューは実施できなかった。代替として、予備調査時に撮影したデータを基に当該アーカイヴの暫定版リストを作成した。また、予備調査時に行ったコザエヴァ氏からの聞き取りの起稿原稿を基にコザエヴァ氏が加筆修正を加えたエッセイ「ニーナ・ニコラエヴナ・ミチューリナとミチューリン家アーカイヴについて」を編集した。それらを掲載したディスカッション・ペーパー、帯谷知可/リュドミラ・コザエヴァ編『ある白系ロシア人家族の軌跡―ウズベキスタン共和国タシュケントに残るミチューリン家アーカイヴ』(CIRAS Discussion Paper No. 115、京都大学東南アジア地域研究研究所、2022)のデータ作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの感染状況が落ち着きを見せない中、海外調査や日本において移動を伴う調査において実施しなければならない研究計画については、引き続き実施できていない状況はあるが、予備調査時の当該アーカイヴ資料の撮影データに基づいて、所収資料の暫定版のリストを完成させることができた。現地調査が可能となったならば、これをもとに現物との照合を行い、修正・追加の作業を行うことで比較的短期間でリストは完成させることが可能である。また、所収資料の内容の検討と、L.コザエヴァ氏の回想から、ミチューリン夫妻の足跡やその周囲の人々との関係について、整理ができつつあり、今後はこれらを日本における白系ロシア人研究の先行研究と突き合わせていく作業に着手できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)当該アーカイヴのカタログ化・データベース化については、現地調査によって暫定版リストを補完し、日本語・ロシア語の2言語対応とする作業を行い、実現する。 (2)日本ににおける白系ロシア人研究の先行研究との突き合わせ、ならびに独自の資料調査等により、ミチューリン夫妻の東京での活動、特にニーナ夫人のソ連領ウズベキスタンへの「帰還」の経緯を明らかにする。 (3)ウズベキスタンでの現地調査が可能となれば、「帰還」したソ連人をめぐる当時のウズベキスタンの状況、ニーナ夫人が身を置いたタシュケントのロシア語話者のコミュニティについて明らかにする。 (4)上記(2)と(3)の成果については書籍化を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、主として新型コロナウィルスの感染拡大により、今回も年度内にウズベキスタンに渡航して現地調査を行うことが不可能であったことによる。次年度使用額については、これまで実施できなかった分の現地での作業を視野に入れ、現地調査日程を若干長めに設定し、作業の効率化のために現地での謝金使用なども視野に入れて、問題なく使用する予定である。
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Research Products
(1 results)