2020 Fiscal Year Research-status Report
セクハラ・性暴力問題の女性のエンパワーメントによる解決のための比較社会学的研究
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20K12460
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牟田 和恵 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80201804)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 韓国フェミニズム / 性暴力 / セクシュアル・ハラスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、サバーティカルを生かして、韓国での長期現地調査を行う予定であったが、コロナ禍により、断念せざるをえなかった。そのため、20年度は、文献およびインターネット上での、韓国の近年の女性運動に関する情報の収集に努めた。 その結果、現時点で分かったことは、 (1)韓国では近年の女性のアクティビズムには目を見張るような勢いがあるが、そこには、「韓国女性運動の四世代」と呼ぶべき、多重の層がある。すなわち、80年代の民主化運動における女性運動家、90年代の世界的な女性運動の中で登場したフェミニスト運動家、民主化運動以降のインターネットを駆使して活動するヤングフェミニスト、2015年のメガリア登場以降のSNSを駆使してミソジニーと闘う女性たち。比較的高齢の前2者が持っている組織力で後2者の若手フェミニストたちに支援するという有機的な連携協力がなされていることが、韓国の活発な女性運動の基盤となっている。 (2)しかし一気に社会の変革が進むわけではなく、とくにサイバー性暴力の被害は日本以上にすさまじいものがある。これは、日本も共通だが、東アジア的女性蔑視・女性の貞操観のベースの上に、近年の女性の地位向上で、ミソジニーが広がっている。これは、ギデンスが現代にDVや性暴力が広がっている理由としてと指摘しているとおりだが、サイバー性暴力は、さらに手軽・安易に、かつ強力に、女性への反撃攻撃ができる、その手段を提供している。 これらの情報収集で得られた人脈を活用して、今後の韓国での調査に備えていく。 なお、調査はコロナ対策が確立されてから行うこととし、したがって、その経費分はそのまま繰り越すこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため、予定していた韓国現地調査を延期せざるを得なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査が可能となるまで、文献やインターネット上の情報収集によって研究を進める。 現地調査は、サバーティカル期間での実施ができず、また、2021年夏休みも実施できるかどうか不確定なため、2022年度以降の定年退職後の実施も念頭において、研究を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、サバーティカル期間を生かして長期に行うことを予定していた韓国調査が行えなかったため、大幅に未使用額が生じた。今後、コロナの状況および、長期滞在調査のためのスケジュール確保の両方を勘案し、調査の実施のタイミングを図る。
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Research Products
(3 results)