2020 Fiscal Year Research-status Report
公共図書館における地域情報資源創出継承活動の展開・効用に関する基礎的研究
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20K12548
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
小田 光宏 青山学院大学, コミュニティ人間科学部, 教授 (00185604)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 公共図書館 / 図書館サービス / 地域情報 / 情報源創出 / 情報源継承 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,公共図書館における地域情報資源創出継承活動の展開・効用に関して,①どのような活動形態が存在するか(活動の形態),②どのような条件のもとで活動が行われているか(活動の前提条件),③活動に影響を与える要因にはどのようなものがあるか(活動に影響を与える要因),④活動によってどのような効用が期待されるか(活動によったもたらされる効用)という個別課題を設定し,諸調査によって明らかにすることを目指している。 2020年度は,質問紙調査の準備に焦点を合わせ,上記①から④の課題を明らかにするための調査票を設計することに取り組んだ。最終的に,質問紙の構成,質問項目の選定,質問形式の検討,回答の選択肢の絞り込みまでに至っており,質問文・回答(選択肢等)の表現及びレイアウトなどの調整をさらに行うことによって,調査票を整える見通しを立てた。 ただし,新型コロナウイルス感染症感染拡大の状況に基づき,2020年度中に行う活動を見直した上で,研究活動を遂行した。見直した内容は,策定した調査票に基づく予備調査の実施の一部と諸外国の状況に関する情報収集を中断し,これらに基づいて調査票の質を高めて完成させる時期を,2021年度に延期したことである。 一方,予備調査や情報収集を行うために確保していたエフォートを,研究の開始前から進めていた先行研究及び関連事例の渉猟に充て,これらを幅広く行い,研究レビューの作成を進めた。これにより,前述の①~④に関係する基礎理解を深めるに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的の達成に向けて,2020年度は,質問紙調査の調査票を策定し,公共図書館の地域情報資源創出継承活動に関連する諸事情に詳しい専門家(研究者ならびに実践家)から,調査票の有効性に関係する知見を得るための予備調査を実施し,それに基づいて調査票を改善し完成させることを計画していた。また,諸外国の公共図書館における地域情報資源創出継承活動の状況に関する情報を収集し,調査によって得られた成果が世界にも発信できるよう,調査票を整備することを意図していた。 しかし,新型コロナウイルス感染症の国内外での感染拡大に伴い,専門家と対面する機会が得ることが困難となり,十分な予備調査が実施できない状況が続いた。また,国際会議等がほぼすべて中止となり,諸外国の状況に関する情報を収集する機会が失われた。そこで,2020年度後半に,年度内に行う研究計画を再検討し,2021年度までを視野に入れて進める計画に変更した。その結果,予備調査の実施完了,諸外国の状況の確認,予備調査等に基づく調査票の改善と完成を,2021年度までに行うこととした。 こうした事情から,進捗状況が「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
上記「現在までの進捗状況」に記したように,新型コロナウイルスの感染拡大の状況により,2020年度の研究計画を変更した。これに伴い,2021年度の研究計画もまた,一部修正を行うこととなる。ただし,新型コロナウイルス感染症の影響を避けるため,効果的な成果が得られると判断された場合には,オンライン会議等のリモートによる調査活動を積極的に導入して対処する。 2021年度の推進内容としては,質問紙調査の調査票の策定を終了し,これに基づく,公共図書館の地域情報資源創出継承活動に関連する諸事情に詳しい専門家(研究者ならびに実践家)に対する聴取調査に取り組む。その際,対面形式とオンライン会議形式を併用することを試みる。また,オンライン形式で実施される国際会議に参加し,また,諸外国の専門家ともオンライン会議形式での接触を試み,情報を提供してもらうようはたらきかける。その上で,こうした活動の成果に基づき,調査票を完成させる。 調査票に基づく実査は,2021年度後半に予定し,年度内に回答の分析が行えるよう調整する。その上で,質問紙調査の結果に基づいて行う,特徴的な活動事例に関する詳細な聴取調査の実施時期を2022年度に変更する。このような計画の見直しを行い,十分なエフォートを確保することを前提に,的確な研究が推進できるよう措置する。
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Causes of Carryover |
研究経費の次年度使用が生じた理由は,2020年度に生じた新型コロナウイルス感染症の国内外での感染拡大の影響である。この影響に伴い,十分な予備調査が実施できない状況が続き,また,国際会議等が中止となり,これらに使用する旅費7や謝金を中心とする経費が未使用となった。 これらの研究活動は,2021年度内に行う計画であり,そのための関係経費を割り当てることを予定している。また,2021年度には,当初から予定していた質問紙調査の実査を行い,分析を進めることになるため,そのための関係経費を使用する。
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