2022 Fiscal Year Research-status Report
公共図書館における地域情報資源創出継承活動の展開・効用に関する基礎的研究
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20K12548
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
小田 光宏 青山学院大学, コミュニティ人間科学部, 教授 (00185604)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 公共図書館 / 図書館サービス / 地域情報 / 情報源創出 / 情報源継承 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,公共図書館における地域情報資源創出継承活動の展開・効用に関して,①活動の形態,②活動の前提条件,③活動に影響を与える要因,④活動によったもたらされる効用という個別課題を設定し,諸調査によって明らかにすることを目指している。とりわけ,公共図書館における地域情報・地域資料に関係する取り組みの中から,地域の日常に存在する印刷資料や画像資料,人々の記憶や人々の間で伝承されてきた情報などを組織化して情報源として整備したり,掘り起こして提示したりする能動的な図書館活動に着目し,全国の公共図書館における実態を明らかにするための調査票を2021年度に設計した。 2022年度は,この調査票に基づく質問紙調査を,2022年4月から9月の期間(督促期間を含む)に実施した。対象は,2022年3月時点で図書館を設置している地方自治体とし,その中央的な役割を果たしている1,391館に調査票を送付して協力を求めた。回収率は,74.0%(1,030館)であった。 質問紙は,①「図書館自らによる撮影・録画・録音活動に関する設問」,②「地域の人々・団体・企業等との協同に基づく活動に関する設問」,③「地域の状況を把握・継承するための活動に関する設問」の三つに大別して設問を用意し,過去10年間の図書館活動を尋ねた。 回収した調査票に基づき,2022年10月以降,データを集計し,分析作業を進めた。分析結果の一部は,2023年度日本図書館情報学会春季研究集会で報告する予定となっている。2021年度までと同様,2022年度も,新型コロナウイルス感染症の影響を受けた研究遂行上の遅れが一部に残ってはいる。しかし,2022年度において質問紙調査の実施に至ったことから,2023年度において,当初の目的に沿った研究の完遂に向けての見通しを立てることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度となる2020年度から2022年度まで,新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い,研究計画をその都度見直し,いくつかの研究活動を,後の年度に延期してきた。質問紙調査の推進はその一つであったが,2021年度に改善を図ることができ,2021年12月に調査票の設計を終了させた。その後,2022年3月に実査を進められる段階に至り,2022年度にかけて質問紙調査を実施した。また,2022年10月以降,データの集計・分析作業を開始し,研究発表のための準備も進んでいる。ただし,一部のデータの分析作業と研究成果の公表が遅れていることから,研究期間を2023年度まで延長し,取り組むことを予定している。 こうした事情から,進捗状況が「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
上記「7.現在までの進捗状況」に記したように,2022年度までに,研究計画の一部修正を行い,2022年度に,全国規模の質問紙調査を行うことができた。しかし,新型コロナウイルス感染症の影響は,2022年度においても生じ,当初予定したすべての計画を,2022年度までに終了させるには至らなかった。そこで,2023年度においては,残された計画に関して進めることとなる。 具体的には,2022年度に実施した質問紙調査に基づき,2022年度中に取り組めなかった視点ならびに項目に関する分析を,2023年7月を目処に進める。また,質問紙調査の結果に基づいて,特徴的な活動事例に関する詳細な聴取調査の実施は,2023年度後半に行う。 また,2022年度からは,山口県立大学専任講師・仲村拓真氏が,研究協力者として研究推進に参加している。2023年度は,氏の協力の場を拡大し,さらに充実させることを目指す。
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Causes of Carryover |
研究経費の次年度使用が生じた理由は,2020年度以降の新型コロナウイルス感染症の国内外での感染拡大の影響を避けられなかったことが主な理由である。これにより,研究計画の遅滞が生じ,また,見直しを余儀なくされる状況が続き,様々な経費が未使用となってきた。また,全国規模での質問紙調査は,2021年度から2022年度にかけて実施することができたが,その分析結果に基づく,特徴的な活動事例に関する聴取調査や成果報告等は,2023年度に延期することとなり,経費の一部が未使用となっている。 こうした経緯に基づき,2023年度は,質問紙調査の分析結果に基づく聴取調査と分析結果の成果報告を中心にした計画を中心にした経費使用を見込んでいる。また,ウクライナ情勢等の状況が改善させたならば,国際会議等の参加し,情報収集ならびに研究報告を行うために,一部の経費を割り当てることを計画している。
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