2022 Fiscal Year Research-status Report
Research on Extension of Qualitative Research Method by Using Interactive CG Technology
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20K12554
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
斎藤 進也 立命館大学, 映像学部, 准教授 (70516830)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デジタルヒューマニティーズ / ゲームエンジン / 質的調査 / インフォグラフィックス / インタラクティブCG |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、過年度の蓄積を踏まえ、ゲームエンジンによる3D表現を活用した人文社会科学領域の調査の支援というベクトルを継承しつつ、その応用範囲の拡大に力点を置き、研究を進めた。そして、従来から進めてきた3Dタイムライン表現などの人文学系調査を対象にしたものだけでなく、場所や町、都市といった空間に対する認知を支援する仕組みの検討も行った。また、UIについての再検討を行いゲームテクノロジーをより広く活用するためのインクルーシブなデザインのあり方についての考察も行った。そして、昨年度の報告において課題にしていた成果のアウトプットについても積極的に行った。具体的には、ゲームスタディーズ関連の国際会議である「Replaying Japan 2022」や情報処理学会のシンポジウム「INTERACTION 2023」にて成果の報告を行った。加えて、これまでの研究活動・成果を、質的調査を積極的に活用する学術領域と接続するため、人間科学関連の研究報告会に参加し、知見の共有を行った。これまで本研究では、1)情報システムの構築、2)3Dインフォグラフィックスの表現開拓、3)実際の研究資料を使用した調査実践 という3つの柱を立てて遂行してきており、上述の学会、研究会などを通じたフィードバックから着実な進展があると判断できる。ただし、3)実際の研究資料を使用した調査実践における進捗の若干の遅れや3つの柱の調和において改善の余地が残る面もあり、こうした点の解決を次年度の課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上に述べたように本研究は、1)情報システムの構築、2)3Dインフォグラフィックスの表現開拓、3)実際の研究資料を使用した調査実践という3つの柱を立てて遂行してきた。1)および2)については、UnityおよびUnrealEngineを用いて調査資料やデータを3DCG上で閲覧する仕組みが考案され、2022年度において、その応用可能性が拡張されたことから、進捗は概ね順調であると判断できる。一方で、3)については、過年度における新型コロナウィルスによる計画変更の影響もあり、やや遅れが生じた面がある。ここについては、実際の人文社会科学系の研究実践とうまく連携して進める必要があり、そのための調整に想定以上の時間を要した。またこれに関連し、上記3つの柱(取組み)が融合し、「システム」と「コンテンツ」の相互性を捉えた仕組みやメソドロジーの開拓という本研究のゴールに到達するためには、しばらく「コンテンツ」面に力点をおいて研究を継続していく必要があるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、2022年度が本課題の最終年度であったが、上記の状況に鑑み、期間延長を行い2023年の研究を推進していくこととなった。推進の方策としては、「コンテンツ」面の拡充、すなわち、実際の人文社会科学系の研究実践の文脈とそこで取り扱う資料・データを、本研究に組み込んでいくことに力点を置く。その上で、「システム」面との連携を図り、ゲームエンジンを活用した質的調査研究の実践的な新規手法として提案可能な成果の導出を目指す。また、課題期間が残り一年ということを念頭に置き、「コンテンツ」として何を対象にするかについては絞り込みを行い、着実に成果があげられるよう工夫する。具体的には、立命館大学アート・リサーチセンターにおいてデジタルヒューマニティーズの観点から進められている写真アーカイブに基づく大衆音楽シーンの考察という研究実践を対象とし、これを「コンテンツ」として整理しつつ、「システム」面との連携や相互性の向上を実現し、最終成果の導出につなげる。
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Causes of Carryover |
本研究は、1)情報システムの構築、2)3Dインフォグラフィックスの表現開拓、3)実際の研究資料を使用した調査実践という3つの柱を立てて遂行してきた。1)および2)については進捗は概ね順調であると判断できるが、3)については、過年度における新型コロナウィルスによる計画変更の影響もあり、やや遅れが生じた面がある。この部分は、実際の人文社会科学系の研究実践とうまく連携して進める必要があり、そのための調整に想定以上の時間を要した。こうした状況がありつつも、次年度まで研究を継続することで、十分な研究成果を上げることができると考える。次年度において、「コンテンツ」面の拡充、すなわち、実際の人文社会科学系の研究実践の文脈とそこで取り扱う資料・データを、本研究に組み込んでいくことに力点を置く計画であり、それに伴う予算執行を行う。
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Research Products
(8 results)