2022 Fiscal Year Research-status Report
アカデミックマーケティングと学術研究の関連に関する定量的調査研究
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20K12569
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
西澤 正己 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (00281585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孫 媛 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (00249939)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アカデミックマーケティング / 景品表示法 / 研究成果 / 文献公表 / プレスリリース / 新聞報道 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成15年に「景品表示法」の新設等があり、商品・サービスの内容に関する合理的な根拠のない表示を効果的 に規制することができるようになった。これに伴って大学等の研究機関を第三者機関としたアカデミックマーケティングが行われることが多くなってきている。我々は、これまでの研究で、大学関連のプレスリリースと新聞報道等の関連を調査してきた。そこではアカデミックマーケティングに関すると思われる企業との共同研究も多く見られ、本研究の動機となっている。本研究では、これらに関係すると思われる研究成果等の報道に関し、根拠となる学術結果や資料、特許等がどれほど特定でき、公表されているのかを調査する。さらに、これらの文献公表とマーケティングの成功、問題点の有無等との関係を分析し、その関係を明らかにしていくことを目的とする。 本年度は2015年にスタートした機能性表示食品制度において2022年までに届出のあった6,484件に対して、日経テレコン21収録のプレスリリースおよび、新聞掲載に関して調査を行った。日経テレコン21のプレスリリースに対して、「機能性表示食品」のキーワードで検索を行ったところ、2015年から2022年の間で6つのプレスリリースメディアに対して3,141件のヒットがあった。全体では2015年から2022年までに4倍以上の増加があるが,大学等の研究機関からのプレスリリースが多く採録されている日経プレスリリースに関しては,2017年をピークに横這いまたは減少の傾向が見られる。また、2013年から2021年の読売新聞に対して、「機能性表示食品」のキーワードで検索を行ったところ、205件の記事がヒットした。この中でプレスリリースとの一致記事は12件であり、新聞報道される例はかなり少ないことがわかった。この結果は情報知識学会年次大会で発表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は近年における変化を調査するために、読売新聞記事データの2001年から2021年までを利用した。「機能性表示食品」の新設は2015年であるので、制度制定前後の変化を調査できるようになる。 これまでの研究では「機能性表示食品」の科学的根拠として「ヒト試験」を用いる届出のみを対象にしていたが、科学的根拠として大半の届出が採用する「研究レビュー」についても届出情報とプレスリリースとの関係を調査した。プレスリリースと対応する新聞記事の抽出については、これまで開発したDoc2Vecを用いる機械学習と機関名、時間情報を組み合わせた方法の改良を行い、確認に要する時間を大きく減らすことができた。しかし、プレスリリースと対応する新聞記事はわずかであった。ここまでは新聞記事の準備の都合で近年の調査は読売新聞のみであった。今後、毎日新聞等の準備を行い、傾向の違いを調査する必要がある。新聞との対応記事は少なかったが、「機能性表示食品」に関連するプレスリリースは3000件以上見つかったので、これを教師データをとして、新聞報道中の関連する報道記事の抽出が可能になるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は機械学習モデルの作成で後回しになっていたプレスリリースからのアカデミックマーケティング関連の記事を、産学が連携したプレスリリースから抽出していく。これに関してはこれまで、機関名抽出とセクター分類の自動化手法を開発済みであり、さらにNISTEPの機関名辞書も取り入れて精度向上を図りつつ進めていく予定である。また、プレスリリースの過去の記事に関しても日経テレコン等のデータベースから抽出し、必要に応じて購入していく。これらの分析を進めることによって、2023年度には大まかなアカデミックマーケティング関連の記事の動向を捉えることができるのではないかと思っている。新聞記事上での抽出に目処がついた時点で、Webやソーシャルメディア上の記事に対象を広げていく予定である。また、最終年度として国際会議での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
参加した国際会議はオンライン参加としたため、旅費に未使用が生じたため。2023年度においても国際会議参加予定のために、この旅費として使用する予定である。また、NIkkeiTelecom21データベースからプレスリリース本文を購入予定である。
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