2022 Fiscal Year Research-status Report
複雑な社会を有するハンドウイルカ属における長いコドモ期の適応的意義の解明
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20K12584
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
酒井 麻衣 近畿大学, 農学部, 講師 (40512299)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イルカ / ハクジラ / 鯨類 / 子育て / 社会行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
R4年度は7月に野外調査を行い、21日間に25回出航し野生ミナミハンドウイルカ母子の水中ビデオデータを得た。胸ビレで相手をこする行動であるラビング、体の長軸を平行にして泳ぐ並泳、呼吸の同調、サポート遊泳、社会的性行動などの社会行動を記録できた。息子がペニスを母親の生殖孔へ挿入するマウンティングも観察された。今後、量的な解析を行う。母親の作る水流に子が乗り遊泳コストを軽減する行動(遊泳サポート)の分析のために、母と子の尾ビレを振る回数や、母子の体長の情報が必要である。そこで、共同研究として3Dカメラにて個体を撮影し、遊泳中の個体の体長を推定する手法の開発を試みた。その結果、85個体の体長を精度よく推定することができた。また、母子間行動の個体差には母親の年齢が影響を及ぼしている可能性がある。そこで、年齢不明個体の年齢を推定するために、成長と共に増える斑点を用いた年齢を推定する手法の開発を、共同研究として行った。また、ハンドウイルカ属の比較対象として、同じマイルカ科のシャチの母子間行動を継続観察した。娘が2歳から10歳に至るまでの間の母子間行動を分析したところ、頻度は漸減した。ラビングにおいては、 娘の成長に伴って送受の偏りが小さくなった。このことから、母が子へ投資するばかりだった関係が、娘の成長に伴い、母が娘から利益を得るような対等な関係に移行しつつあることが推察された。ハンドウイルカ属の場合、平均3.5歳で親離れするが、飼育ハンドウイルカでは1歳以降は子から母へのラビングが増えてくる。ハンドウイルカ属においても、母から子への投資だけでなく、子から母が受ける利益もある可能性が考えられる。例えば遊泳サポートはオトナ個体間の並泳においても、起こることが確認できている。今後、この点も考慮に入れながら母子間行動の分析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、母子間の社会行動について分析を進めているが、水中ビデオ映像の分析に多くの時間が必要であり、分析の進行がやや遅れている。また、各個体の行動の比較には、より多くのビデオデータが必要になることが考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
水中ビデオ映像の分析については、新たにハクジラ類の社会行動の分析経験を持つ者を雇用することを検討する。ビデオデータは、同じフィールドで研究する共同研究者と共有したり、野外調査の期間をより長くとることで、必要な量を得られるよう工夫する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、2022年の国際学会にオンラインで参加した。そのため、2022年は国外旅費を使用しなかった。また、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、2020年は野外調査を中止した。不足分のデータを補うために、2023年度に野外調査を行う予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] Development of social behavior between mother and daughter in captive killer whales.2022
Author(s)
Motomura,Y., Nakano, T., Kanda, K., Ryono, M., Konno, S., Sakai, M.
Organizer
24th Biennial Conference on the Biology of Marine Mammals
Int'l Joint Research
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