2020 Fiscal Year Research-status Report
Noninvasive analysis of the cerebrospinal fluid composition by MRI
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20K12590
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
Tha KhinKhin 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (20451445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵頭 秀樹 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (30306154)
矢部 一郎 北海道大学, 医学研究院, 教授 (60372273)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 導電率 / 脳脊髄液 / 化学交換緩和移動イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
脳脊髄液成分の変化は中枢神経系の機能や異常を反映するため、髄腔穿刺にて採取された脳脊髄液の成分分析は様々な中枢神経疾患の診断や治療効果判定に欠かせない検査となっている。しかし、この検査は侵襲的で低髄液圧症や脊髄損傷、感染などのリスクがある。よって、脳脊髄液成分を非侵襲的に分析できる技術の開発が望まれている。 本研究は、MRIを用いて脳脊髄液成分を分析し、脳脊髄液の非侵襲的分析システムの可能性について検討することを目的としている。検討課題として、(1)脳脊髄液成分分析における導電率及び化学交換緩和移動イメージングの感度検証、(2)脳脊髄液成分分析のための導電率及び化学交換緩和移動イメージングの最適化、(3)臨床研究、を予定している。 初年度の令和2年度では、(1)脳脊髄液成分分析における導電率及び化学交換緩和移動イメージングの感度検証を行った。髄液穿刺にて取得した人の脳脊髄液サンプルのex vivo 導電率及び化学交換緩和移動イメージングを行い、それぞれの方法から得られた画像指標と化学的分析によるナトリウムイオン量や蛋白濃度、比重、pH、細胞数、ブドウ糖量などとの相関について検討した。導電率及び化学交換緩和移動イメージングによる画像指標は、蛋白濃度、比重、pH、細胞数との相関を示すことが明らかとなった。ブドウ糖濃度との相関は認めなかったが、取得した脳脊髄液検体のブドウ糖濃度のバラツキが小さかったためかもしれない。本研究成果を、令和3年5月15日~20日に行われる国際磁気共鳴医学会に発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度には、当初予定していた通り、(1)脳脊髄液成分分析における導電率及び化学交換緩和移動イメージングの感度検証を行った。 予想したように、導電率及び化学交換緩和移動イメージングによる画像指標と脳脊髄液の生化学的分析による成分との相関を認めた。本研究成果を、令和3年5月15日~20日に行われる国際磁気共鳴医学会に発表する予定である。 導電率及び化学交換緩和移動イメージングによる画像指標とブドウ糖濃度との相関は認めなかったが、取得した脳脊髄液検体のブドウ糖濃度のバラツキが小さかったためかもしれない。よって、ブドウ糖濃度の異なる脳脊髄液検体が収集できるよう、検体収集を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の令和3年度には、脳脊髄液成分分析における導電率及び化学交換緩和移動イメージングの感度検証を継続するとともに、脳脊髄液成分分析のための導電率及び化学交換緩和移動イメージングの最適化を行う予定である。 脳脊髄液は循環しているため、得られたMRI画像信号強度にムラが生じ得る。導電率イメージングはこの影響を受けていることが我々が以前行った研究にて示されている(Katscher U, et al. Proc Intl Magn Reson Med2018; 0546)。脳脊髄液の信号を高精度に得るためには、最高速で脳脊髄液の信号を捉えるMRI撮像法(2次元撮像法など)や脳脊髄液の循環に影響されない心拍・脈同期下でのMRI撮像を用いる必要がある。また、脳脊髄液の流動速度は部位によって異なるため、脳脊髄液の成分分析に最適な撮像部位について検証する。更に、脳脊髄液は周囲からの信号や拍動の影響を受けることがあるため、これらの影響のない撮像条件(Presaturation pulseを用いるなど)についても検討する。新型コロナウイルス感染状況が収まり、入国制限が緩和されれば、研究協力者のKatscher氏を当施設にお招きし、導電率イメージング撮像条件の最適化検に協力していただく。最適化後は、臨床研究を開始する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、入国制限があったため、当初予定していた研究協力者Katscher氏の当施設訪問ができなかった。また、情報収集のため予定していた国内・国際学会の出張ができなかった。よって、当初予定した旅費に次年度使用額が生じた。新型コロナウイルス感染状況が収まり、入国制限が解除されれば、研究協力者の訪問を予定し、導電率イメージングの撮像条件最適化に協力していただく。生じた次年度使用額をこの旅費にあて、有効活用する。
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