2022 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ浮腫による脂肪組織の肥大化および線維化メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K12593
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
菅原 路子 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30323041)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / 脂肪細胞 / 脂肪酸 / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ浮腫は,皮下組織へのリンパ液滞留により四肢に強いむくみをきたす疾患であり,リンパ浮腫患者の皮下脂肪組織は肥大化かつ線維化することが報告されている.今年度は高濃度脂肪酸およびアルブミンが脂肪細胞のコラーゲン分泌に及ぼす影響を明らかにすることを試みた. 実験では,脂肪細胞へ分化中の前駆脂肪細胞,および分化した脂肪細胞に対し,脂肪酸の一種であるオレイン酸およびパルミチン酸を,アルブミンと同時に添加した.その後4日培養したのち,Sirius red染色により総コラーゲン量を計測した.また,免疫蛍光染色により1型コラーゲンおよび6型コラーゲンの局在を観察した. 総コラーゲン量の計測結果,オレイン酸添加においてはコントロールに比較しコラーゲン量が10%増加し,パルミチン酸添加においては25%減少した.ここで,コラーゲンの局在に着目すると,添加後day4におけるコントロールでは,細胞底面にスポット状にコラーゲンの局在がみられる一方で,オレイン酸を添加した条件では,細胞間を繋ぐような線維状のコラーゲンが多くみられた.線維状のコラーゲン構造は,脂肪組織の線維化においてみられるコラーゲン構造と類似していた.このため,オレイン酸の添加は,コラーゲン構造に影響を与えると考えられた. 以上の結果およびこれまでの脂肪滴の肥大化に関する結果を総括すると,オレイン酸の高濃度化は脂肪細胞の肥大化を引き起こし,またコラーゲン構造を変化させることで脂肪組織の線維化を促進することに寄与することが示唆された.また,パルミチン酸の高濃度化においては,脂肪細胞の肥大化を引き起こすことは確認されたものの,コラーゲン量は減少したことから,脂肪酸の種類により脂肪組織の肥大化および線維化メカニズムが異なることが予想された.
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Research Products
(2 results)