2022 Fiscal Year Research-status Report
ボツリヌス神経毒素の鎮痛効果発現における直接的作用と間接的作用
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20K12648
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 由弥子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (20403496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松香 芳三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90243477)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ボツリヌス神経毒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題のこれまでの研究において、片側の顔面部に末梢投与されたA型ボツリヌス神経毒素(BoNT/A)が、抗がん薬誘発性神経障害性疼痛モデルラットだけではなく、眼窩下神経を結紮した三叉神経障害性疼痛モデルラットにおいても両側性の鎮痛効果を示すことを明らかにした。また、Alexa Fluor-488で蛍光標識したBoNT/Aの重鎖C-末端側領域(BoNT/A-Hc、神経細胞結合ドメイン、約50 kDa)のリコンビナントタンパク質を用いた局在部位を調べる実験において、片側の顔面部に末梢投与されたBoNT/Aは投与側の三叉神経節だけでなく非投与側の三叉神経節にも移行することによって、両側性の疼痛抑制効果を発揮している可能性を示した。BoNTは神経伝達物質の開口分泌にかかわるSNAREタンパク質を切断する金属プロテアーゼである。そこで、本年度は、片側に投与されたBoNT/Aが実際に両側の三叉神経節で機能していることを確かめるために、BoNT/Aの基質であるSNAREタンパク質のSNAP-25の切断を調べた。A型ボツリヌス菌62A株から精製したBoNT/Aをラットの片側の顔面部に末梢投与して、BoNT/A投与側の三叉神経節とBoNT/A非投与側の三叉神経節を摘出し、ウェスタンブロット解析等で切断されたSNAP-25の検出を試みているが、これまでのところ切断されたSNAP-25を検出するには至っていない。その一方で、BoNT/Aの投与により間接的に影響を受ける分子の探索を行うために、発現解析の準備を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は3年間で本研究課題を実施することを計画していたが、初年度(2020年度)と2年目(2021年度)は新型コロナウイルス感染症の影響で研究活動が制限されたこともあり研究期間を延長することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
BoNT/Aが実際に両側の三叉神経節で直接的に作用していることを確かめるために、実験条件や検出に用いる抗体を変えて、引き続き両側の三叉神経節でのSNAP-25の切断をウェスタンブロット解析あるいは免疫組織染色で調べる予定である。また、BoNT/Aの間接的な作用を調べるために、BoNT/Aの投与により発現量が変化する分子の探索も行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で研究が遅れて研究期間を延長することとなり、次年度使用額が生じた。実施できなかった研究を次年度に実施して使用する。
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Research Products
(2 results)