2020 Fiscal Year Research-status Report
MRIの新展開:超低磁場MRIの高解像度化と高速化に関する研究
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20K12680
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
小山 大介 金沢工業大学, 先端電子技術応用研究所, 准教授 (60569888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
露口 尚弘 近畿大学, 大学病院, 准教授 (50295705)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MRI / 超低磁場 / 高解像度化 / 高速撮像 |
Outline of Annual Research Achievements |
地磁気程度の大きさの磁場を利用する超低磁場MRIは「生体組織の違いを鮮明に表現できる」「脳神経活動を直接的にイメージングできる」「従来のMRIに比べて装置が簡便、高い安全性、幅広い計測対象への応用」などの新しいMRIの計測手法として期待されている。しかし、いまだに発展途上の計測技術であり、ヒトを対象とした実験に適した装置や計測手法が確立されていない。その主な原因として、まだ十分な分解能が得られていないことと、長い計測時間が必要であることに問題があった。そこで本研究では、超低磁場MRI計測の高解像度化と高速化の双方を実現することを研究の目的とし、計測プローブや撮像シーケンス、磁場空間制御手法の開発に取り組む。 初年度は主に頭部計測用プローブと磁場空間制御用コイルセット設計のためのシミュレーション実験を実施した。高い分解能と短い計測時間を実現するためには高い信号/雑音比で磁気共鳴信号を検出しなければならない。そのために必要な静磁場の強度や均一性、検出プローブ形状および配置について条件を変えながらシミュレーションをおこなった。その結果、当初定めていた磁場強度である地磁気程度の大きさの磁場(=数十マイクロテスラ)では目的の実現が難しいことが分かった。MRI計測における信号/雑音比は磁場強度に比例すると言われているが、磁場強度を強くすると安全性や装置の大型化といった課題も生じるため、トレードオフな関係にある。そこで本研究では、超低磁場MRIの特長を活かせる程度の低磁場で、かつ、高解像度・短時間でのMRI計測が実現できる磁場強度を新たに定めることにした。シミュレーション結果や磁場発生装置の構成を考慮して静磁場強度を数百マイクロテスラの大きさと定め、装置設計に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
[研究実績の概要]に記述した通り、申請書作成時に計画していた磁場強度での実現が難しいことがシミュレーション実験により明らかになった。そこで、研究の目的や意義、重要性、波及効果を維持したうえで、磁場強度を高める計画に変更した。 当初計画では初年度には既存試作装置での原理実験をおこなう予定であったが、磁場強度変更により既存試作装置を使用できず、実験することができなかったため、区分を「やや遅れている」とした。その代わり、シミュレーションソフトウェアに改造を加え、装置開発に必要なシミュレーションを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
二年度目の計画はシミュレーションによって得られた知見をもとにして装置開発を進めることになっており、計画自体に大きな変更はない。磁場強度を変更したことによって装置構成を当初想定していた物から変更する必要が生じた。これまでに培ってきたノウハウを超えた設計が必要となる部分もあるため開発にやや時間がかかる見込みであるが、研究代表者が所属する研究所をはじめ、学内外の研究者などに相談して力を借りながら開発を進める予定である。
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Causes of Carryover |
既存試作装置による原理確認実験を実施しなかったため、繰り越しが生じた。一方、次年度に製作する装置が当初計画よりやや規模が大きくなるため、次年度の計画予算分と合わせて試作費等として使用する計画である、
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Research Products
(1 results)