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2023 Fiscal Year Research-status Report

ザントラルト『ドイツ・アカデミー』の画家伝再考:著者との直接の交際という観点から

Research Project

Project/Area Number 20K12868
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

大杉 千尋  日本大学, 芸術学部, 研究員 (40845260)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2025-03-31
Keywordsザンドラルト / クロード・ロラン / バロック美術 / ホントホルスト / 美術理論 / シモン・ヴーエ
Outline of Annual Research Achievements

『ドイツ・アカデミー』中の「クロード・ロラン伝」の翻訳作業を翻訳作業を研究協力者である木村三郎元日本大学教授と共同で進めた。クロードはザンドラルトのローマ滞在中(1629-1635年)に一時期同居しており、共にローマ近郊で風景素描を行ったという。これは西欧における最初期の戸外における絵画制作の事例として重要であり、またクロードの制作上の手法についての貴重な証言である。ザンドラルトが上記のようにクロードと密接な関係を築いていた以上、その伝記の内容も重要な位置を占めると思われる。この成果は2024年度夏頃に『日仏美術学会年報』43号に掲載予定である。
同じく『ドイツ・アカデミー』所収の「ホントホルスト伝」についても研究協力者である東北大学の山田今日子氏とともに翻訳を行っている。ホントホルストはザンドラルトの師匠であり、1625/26年からザンドラルトは彼のもとで弟子として働き、ホントホルストのイングランド滞在(1628年)にも同行している。更にザンドラルトは上記ローマ滞在時、ホントホルストが1610年代にローマでカラヴァッジョの強い影響下で描いた作品群に触れており、いわゆるユトレヒト・カラヴァッジェスキ(カラヴァッジョに影響を受けた画家達のうちユトレヒトで活動した一群の画家たち)の同時代における貴重な証言でもある。下訳が完了し、言及される作品についての調査を行ったのち、東北大学美術史研究室の研究紀要『美術史学』に投稿予定である。
更に、同『ドイツ・アカデミー』の「シモン・ヴーエ伝」についても単独で翻訳を行う予定である。シモン・ヴーエは1614頃から1627年までローマに滞在し、1624年にはローマの芸術家協会「アカデミア・デ・サン・ルーカ」の会長に外国人ながら任じられるなど重要な画家であった。フランス帰国後は王の主席画家として長く地位を保った。この成果は『日本大学芸術学部日本大学研究員研究報告書』に掲載予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新型コロナウイルスの世界的な流行に加えてロシア・ウクライナ間、パレスチナ・ガザの戦紛争により、研究機関の前半は海外渡航が困難であった。そのためザントラルトの『ドイツ・アカデミー』原本や、そこで言及されている作品の現地調査ができていないまま研究を進めざるを得ない状況であった。
昨年度ようやく海外渡航が叶ったものの、台風による飛行機の遅延、それに伴うロスト・バゲージにより体調不良が発生し、途中帰国となった。そのため、渡航の成果はベルリンのボーデ美術館所蔵のフランソワ・デュケノワによる彫刻作品の調査のみとなった。
一方、『ドイツ・アカデミー』そのものは活字化資料とオンライン資料とによって翻訳、分析作業はほぼ当初の予定通り進んでいる。現在3人分の伝記の全訳を終え、同書末尾に付録としてつけられたザントラルト自身の伝記について分析を行った。また、4人目であるホントホルスト伝の翻訳は50%ほど進行しており、シモン・ヴーエ伝についても半分程度下訳を完了している。これらは両方とも投稿に向けて準備段階に入っている。

Strategy for Future Research Activity

2023年に完了できなかった『ドイツ・アカデミー』の原本の調査を行うため、夏頃再びドイツに渡航予定である。
並行してホントホルスト伝、及びシモン・ヴーエ伝の翻訳を完了し、次に同じくローマで活動し、ザンドラルトと直接親交のあったピーテル・ファン・ラールについて調査を開始する予定である。
ただし、ウクライナ及びパレスチナ情勢を鑑み、渡航については慎重に検討し、安全を優先して行動する。

Causes of Carryover

研究機関の前半において新型コロナウイルスの流行により海外調査を中止したので、旅費相当分を繰り越した。
2024年度もロシア・ウクライナ、パレスチナ情勢など世界情勢に鑑みつつ海外出張の準備、実施を行い繰り越した分の予算を使用していく予定である。状況によりやむを得ず海外出張が困難な場合は図書の購入による資料の収集にあてる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] ザンドラルト著『ドイツ・アカデミー』の独仏英における保有状況について2023

    • Author(s)
      大杉千尋
    • Journal Title

      日本大学研究員研究報告書

      Volume: 22 Pages: 146-154

  • [Presentation] グリューネヴァルトとザンドラルト 16、17世紀ドイツ美術をめぐって2023

    • Author(s)
      大杉千尋
    • Organizer
      近世美術研究会
  • [Presentation] ザンドラルト下絵《絵画の起源》について:ブタデスの娘のエピソードを中心に2023

    • Author(s)
      大杉千尋
    • Organizer
      エンブレム研究会第30回研究会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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