2023 Fiscal Year Research-status Report
近世期文芸における「食」の表象研究―食材、食事・調理の風景をめぐって―
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20K12914
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
畑 有紀 新潟大学, 日本酒学センター, 特任助教 (60768422)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 酒茶論 / 酒餅 / 近世文芸 / 中世文芸 / 薬酒 / 菊酒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、絵巻、奈良絵本、仮名草子、草双紙、および浮世絵版画を含む絵入り文芸を主たる対象とし、文芸に表現された「食」の分析を通じて、近世期の文芸の創出を明らかにするものである。具体的には、文芸に描かれた「食」について、料理書、儀礼書、本草書など、近世期の食文化関連資料を用いて注釈を加えた上で、その背景にある実際の食生活との同異を検証し、その変容を探る。 本年度は、中世後期から近世初期に作成された「酒茶論」および「酒餅(論)」を中心に、翻刻や語釈を行うことで、酒に関する表現・修辞の方法を分析し、考察を加えた。このうち一部については、資料紹介として学会誌に掲載された。また、ここまで精力的に分析対象としてきた酒に関して、本研究のように近世文芸を題材とするのみならず、仏教文化、歴史学、経営学など、人文・社会科学領域において、さまざまな方法で日本の社会や人々の生活における酒の意義・価値について問う研究がなされている。これらの研究領域を超え、酒を取り上げる異分野での研究との連携を図るべく、研究集会を実施した。 加えて、酒類に食材等を浸漬して造る薬酒の研究も継続して行った。本年度は、酒に菊花を浸す「菊酒」ついて近世の文献調査を行い、その結果として得られた製法と効能を基に、細胞での実験を実施した。これによって導き出された、近世の薬酒を通じた酒の健康利用の実態とその文化について、学会での口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究集会実施の準備や、他の共同研究プロジェクトとの同時進行により、資料調査とその分析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施期間を1年延長した。本年度に引き続き、次年度には絵巻、絵入り本など、中世後期から近世初期にかけての資料調査に注力する。
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Causes of Carryover |
資料調査が遅れているため、旅費や物品費(書籍購入費など)のための予算に残額が生じている。次年度は、これら遅れている資料調査を速やかに実施する。
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Research Products
(7 results)