2021 Fiscal Year Research-status Report
近世中期の芭蕉発句注釈に見る蕉風俳諧受容に関する研究
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20K12917
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
服部 温子 奈良女子大学, 大学院人間文化総合科学研究科, 博士研究員 (60790194)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 蕉風俳諧 / 芭蕉 / 蓼太 / 荘丹 / 芭蕉発句 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近世中期に関東を中心に絶大な支持を集めた俳諧宗匠である蓼太が著した芭蕉発句の注釈書『芭蕉句解』と、その『芭蕉句解』を増補・訂正するかたちで蓼太の弟子である荘丹が著した注釈書『芭蕉句解参考』の分析を通して、近世期における蕉風俳諧受容の一端を明らかにすることを目的としている。
令和3年度も、引き続き『芭蕉句解』の採用する句形が先行のどの俳書によっているか確認する作業を行った。令和3年度は、『泊船集』『芭蕉句選』といった芭蕉発句集に限らず、『芭蕉庵小文庫』『笈日記』といった芭蕉発句を比較的多く収録する俳書にも比較対象を広げ、調査・考察を進めた。そのうえで、どの俳書から強い影響を受けているかを考察を進めた。 また、令和3年度は『芭蕉句解』の注釈内容についての考察もはじめた。『芭蕉句解』出版以後、『奥の細道』や『俳諧七部集』を中心に、多くの芭蕉発句の注釈書が出版される。そこで『芭蕉句解』における注釈内容と『芭蕉句解参考』などの後世に成立した注釈書の内容を比較することで、『芭蕉句解』がそれらの注釈書に与えた影響について考察している。特に、『奥の細道』と『猿蓑』など、異なる俳書に異なる形で重複して収められる発句については、その注釈内容から当時の俳人達の芭蕉作品の受容態度を知ることができると考えているため、特に注目して考察を進めている。 これらに加え、芭蕉が特に好んで詠み、且つ伝統的な季題でもある「時鳥」を詠んだ芭蕉発句の注釈について、個別に考察したので、研究会において口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本文に関する調査・考察は進めているものの学会誌発表には至らなかったこと、原本調査がかなわなかったこと、内容についての考察が当初予定していたほどには進まなかったことから、遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、ここまでできていない『芭蕉句解』の原本調査を早い段階で済ませたい。また、『芭蕉句解』『芭蕉句解参考』の内容についての考察もペースを速めて進めていきたい。そのうえで、これまでの本文に関する調査・考察結果については今年度中の学会誌発表を目指したい。
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Causes of Carryover |
令和2年度以来できていない原本調査を済ませる予定だったが、今年度も新型コロナウイルス感染症流行が収まっているタイミングで調査に赴くことが叶わず、旅費を使い切れずに残してしまった。今年度は早い段階で原本調査に行けるよう心がけたい。
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Research Products
(1 results)