2020 Fiscal Year Research-status Report
戦時下の婦人雑誌メディアとその連載小説における「言説」形成の研究
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20K12935
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
古矢 篤史 摂南大学, 外国語学部, 講師 (90747966)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本近代文学 / 婦人雑誌 / 戦時下の文学 / 昭和文学 / 横光利一 |
Outline of Annual Research Achievements |
報告年度である1年目は、研究代表者の専門である横光利一を中心として調査を進め、横光が小説を連載した『主婦之友』や『婦人之友』について論考を行った。これらが、当時多数の大衆読者を獲得していただけでなく、「言説」を発する装置として機能していたことが明白になり、横光の小説がそれらの「言説」にどのように関わっているかを解明する作業を進めた。こうした言説が、世界恐慌や満洲事変のいわゆる「非常時」の時局のなかで形成されていること、また、その実態を検証するために婦人雑誌以外のさまざまな時局メディアも確認する必要が生じた。この作業のなかで、新資料となる横光利一の著作物も発見することができた。報告年度の主な研究実績は以下の通りである。 第一に、報告年度において調査・検証した内容について、シンポジウムにて発表を実施(「浪曼か、長篇か――一九三〇年代の大衆メディアと日本言説」、2021年 3月 20日、横光利一文学会第20回大会、オンライン実施)。本シンポジウムは、研究代表者を含めた国内研究者2名、海外(韓国・台湾)の研究者2名による国際集会の場となり、中国の研究者のコメンテーターを加えて、報告年度に調査した内容や今後の研究予定について議論を行い、国際的な視野において高い水準の意見交換を行うことができた。婦人雑誌メディアとその連載小説が相互的に「言説」を形成するという本研究の問題意識を国際的に共有できる貴重な機会となった。 第二に、査読誌に論文を投稿(「『定本横光利一全集』未収録資料紹介――「無題」「春宵閑談」――」、2021年3月、『横光利一研究』第19号 )。報告年度の研究内容は3本の論文にまとめているが、そのうち、本研究を進めるなかで発見した新資料紹介をした1本を先行して報告年度中に掲載することができた。残る2本については投稿中および投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、報告年度は研究調査に多大な制約を受けた。調査を予定していた研究施設が閉館や限定開館となり、また本務校業務についてもオンライン対応など繁忙を極めた。しかし、郵送による資料の収集を行い、また研究に関連する古書籍が少なからず入手できたため、予定していた研究自体は十分に進めることができた。年度末には国際集会シンポジウムの実施、査読誌への掲載ができており、全体としてはおおむね順調であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初の予定通り推進する。2021年度は、前年度の調査結果をもとに、前半は論文投稿を行う予定である。並行して本年度の研究内容(主として『主婦之友』『婦人倶楽部』の連載小説に関する論考)について、2021年9月に研究発表を行うことをすでに申請中である。これら2021年度の研究内容は論文にまとめ、2022年度前半に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大により、予定していた調査方法が事実上不可能になった。とくに、調査のための研究出張が大幅に制限されたため、旅費については支出が発生しなかった。一方、古書籍購入による研究に重点を置いて進めたため、物品費の支出が中心となった。2021年度についても、緊急事態宣言に入り、研究機関が利用できないなどの制約が発生するため、報告年度同様に物品費を中心とした支出となる想定である。
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Research Products
(2 results)