2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study of local literary local magazines in the 1910s-30s: Focusing on "Northern Poet"
Project/Area Number |
20K12942
|
Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
牧 千夏 長野工業高等専門学校, 一般科, 講師 (40847589)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 日本近代文学 / 文芸同人誌 / 東北地方 / 宮沢賢治 / 郷土文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1910-30年代における東北地方の文芸同人誌について、創作・編集・交流といった同人誌活動を全般的に調査することで、中央文壇よりも同人誌活動が優先された地域社会の文化圏があったことを明らかにすることである。2020年度は福島を中心とした同人詩誌『北方詩人』の調査と、岩手の小学校訓導(教員)が主催した『岩手教育』の調査を行った。その調査結果を報告する。 『北方詩人』の編集兼発行人は、寺田弘・大谷忠一郎であった。同人は30名程度で、売捌所は東北地方の都市の書店30か所、発行部数は300部程度で、東北を代表する同人詩誌であることが分かった。地域志向で、批評にしても、同人の詩やまたは寄贈された同人詩誌を主な対象としていた。同人の消息も細かに記載されている。仕事や家庭環境などを知らせ合い、親睦会の様子なども掲載していた。顔見知りの間の交流を重視していることが分かった。 『岩手教育』は岩手教育界という社団法人が主催している。公的な機関ではないが、その会員の大半は小学校教員を中心とした県内の公教育機関の教員であった。これは文芸同人誌ではないが、当時の新教育運動の影響から、文芸教育の問題を扱っているため、取り上げた。『岩手教育』でも、地域志向の文芸教育が主張されていた。なぜなら、当時の新教育運動は子どもの個性を重視しており、そのため子どもが直接的に関わる地域の自然環境や社会問題やそれらに対する子どもたちの感性が重視されたためである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大防止のために、勤務先から出張を控えるように言われていた。そのため、調査のための出張はほどんどできなかった。そのため、図書館に複写依頼し、その資料をもって調査を進めていた図書館側の協力のため、研究を進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
岩手県の同人詩誌の調査を進めたい。岩手県には、『北方詩人』受贈関係にある同人詩誌がある。『貌』『無名作家』などである。 とくに、それらの雑誌に編集・発行に関わっていた梅野健造に着目する。現在分かっているのは、梅野は、仙台で日刊新聞の新聞社に勤めていたが、あるとき岩手に帰郷し、その後『産業組合新聞』の編集に関わったということである。梅野は、積極的に岩手の同人誌を発刊し、岩手を冠した詩集をまとめる。本研究が目標としている創作・編集・交流といった全般的な同人詩誌の活動を解明するために重要な人物であるため、梅野建造についての調査を進めたい。 方法としては、現在梅野が関わったことの分かっている『産業組合新聞』および『無名作家』等の調査である。出張が規制されている間は、図書館に複写を申請し、調査をすすめる。
|
Causes of Carryover |
本研究課題は、4年間の予定で申請しているため、次年度も研究を継続する。そのため、次年度の使用額が生じている。 次年度は、福島県の同人詩誌の調査を進めたい。
|
Research Products
(2 results)