2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K12944
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松山 由布子 広島大学, 森戸国際高等教育学院, 助教 (00819906)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 説話伝承 / 地域文化 / 民俗信仰 / 宗教儀礼 / 祭文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、奥三河地域の太夫家(豊根村3家、東栄町3家)に伝えられる祭文や儀礼詞章のうち、陰陽道にまつわる知識・尾張国津島社の影響のもとで成立した牛頭天王祭文・民俗信仰の儀礼次第について、本文の翻刻と内容の分析を行った。またその成果をもとに、文献資料集『奥三河宗教文献資料集―陰陽道と民俗信仰―』(松山由布子編・発行,2021年3月)を編纂した。本資料集では、新出の伝本やこれまで全容が紹介されていなかった文献を中心に取り上げ、本文全文の翻刻と解説を掲載した。執筆に際しては、西岡芳文氏(上智大学)、マティアス・ハイエク氏(フランス国立高等研究実習院)に研究への協力を依頼した。また日本民俗学会第72回年会(2020年10月4日~11日,オンライン開催)にて口頭発表「近世東三河の陰陽師 小川大膳正の活動」を行い、その成果を補論として掲載した。本資料集は、奥三河地域の民俗信仰や神楽芸能の研究、及び陰陽道・神祇信仰・密教などの専門的知識の民俗文化への展開に対し、新たな視座を提示するものである。 加えて、本研究の主要テーマの一つである〔病人祈祷・行疫神祭祀〕に関して、中世牛頭天王信仰についての最新の研究成果である、鈴木耕太郎著『牛頭天王信仰の中世』(法藏館、2019年)への書評を執筆した。また設楽町長江神社の社殿より牛頭天王像が見いだされた件に際し、『東日新聞』(第25167号,2020年4月24日)にて見解を述べた。 これらの成果を基盤として次年度以降の研究を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究の基幹となる文献の翻刻や伝本の整理を重点的に行い、文献資料集を作成した。またその編纂作業を通して、奥三河地域の民俗信仰や太夫家に伝えられる文献の概要を把握するに至り、次年度以降に行う個別の文献研究や他地域との比較研究のための研究基盤を築くことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果をもとに、奥三河地域の宗教文献についての個別研究を進める。特に、近世期の太夫が担った在地の宗教儀礼と祭文との具体的な結びつき、及び祭文や儀礼詞章が写本として奥三河地域内へ広がっていく際の状況について、具体的に明らかにする。その上で、各文献に記載される説話の地域的特徴について研究を展開させる。牛頭天王や土公神などに関する祭文や儀礼詞章については、奥三河地域と他地域の事例との比較検討を行う。 更に、COVID-19の流行状況や国内移動の安全性を見極めた上で、奥三河地域を中心とする民俗信仰の調査、在地宗教者所有文献の書誌調査を進める。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行に伴う県境をまたぐ移動の自粛や緊急事態宣言等の発令により、調査研究や文献資料集の発行・頒布の予定に大幅な変更が生じ、次年度使用額が発生した。 次年度は、文献資料集の関係機関への頒布、未紹介資料の現地調査及び研究報告を順次行う予定である。
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Remarks |
『奥三河宗教文献資料集―陰陽道と民俗信仰―』(松山由布子編・発行,2021年) 「コロナ禍苦境に"再臨" 疫病除け神・牛頭天王座像発見」『東日新聞』(第25167号,2020年4月24日),コメント掲載
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Research Products
(3 results)