2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Representation of California in Modern and Contemporary U.S. Literature and Film
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20K12956
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 博之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50780392)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 米文学 / 映画 / 西部 / カリフォルニア / 空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究3年目の2022年度はこれまでに整理してきたカリフォルニアと合衆国西部の文化史関連の文献、および特定の作品についての先行研究をふまえ、紀要論文を1本発表した。また、セミナーや研究会での口頭発表・講演が3件となった。 紀要論文「不純な小説のためにーーヴィエト・タン・ウェン「アメリカ人」と現代合衆国文学の位置」は2021年度中のシンポジウムでの発表をもとにしたもので、カリフォルニアと深く結びついて発展してきたアジア系の合衆国文学作家の1つの作品を題材に、カリフォルニアから米文学の枠組みを外に開く可能性を考えた。口頭発表・講演の成果としては、自然主義作家フランク・ノリスの小説『マクティーグ』におけるカリフォルニアの表象をウェスタンやノワールといったカリフォルニアや西部と結びついてきた物語ジャンルとの関係性において分析したもの、ポール・トマス・アンダーソン監督の映画『マグノリア』におけるロサンジェルスの都市空間の意義を論じたもの、トミー・リー・ジョーンズ監督の映画『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』における米墨国境地帯をウェスタンのジャンルとしての変容と結びつけて論じたものがある。最後のものはカリフォルニアに直接関係する内容ではないものの、カリフォルニアもその一部を構成する国境地帯の文化を考える作業として、本研究から派生した有意義な機会となった。 本研究の3年間をとおしての成果は研究論文3本、口頭発表5件となる。必ずしも当初の計画どおりに進めることはできなかったし、体系的な論考をまとめる作業はこれからとなるが、カリフォルニアの文学と映画についての研究を進めるうえで一定の作業を進めることができた。
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Research Products
(4 results)