2020 Fiscal Year Research-status Report
英米文学と初期米国心理学・精神分析学との関係性:宗教との関連を軸としながら
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20K12959
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮澤 優樹 金沢大学, 歴史言語文化学系, 講師 (00846800)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 英米文学 / 宗教 / 文学と科学 / イーディス・ウォートン / ヘンリー・ジェイムズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の初年度にあたる2020年度は、次年度以降の本格的な調査に向けての準備と位置付けている。本年度においては、関連する作家や思想に関連する文献の収集とそれらに対する基礎的な調査を行った。本年度においては、調査する対象の範囲を絞りすぎることなく幅広くとることにより、調査における視野の広さをある程度確保することを意図した文献収集を行った。今回の対象としては、ヘンリー・ジェイムズ、イーディス・ウォートン、F・スコット・フィッツジェラルドら英米の小説家、さらにフロイトやウィリアム・ジェイムズら関連する思想家の文献を収集しそれらを検討した。結果として、世紀転換期と第一次大戦前後の作家・思想家では関心の違いがあるものの、作家と思想家はある程度共通する問題意識に根ざした活動を行なっていることを確認した。またこのうち、19世紀と20世紀をつなぐ世代に位置するウォートンの作品は、ふたつの世代の関心を変遷を見るうえで興味深い作品群であると言える。特にウォートンのEthan Frome(『イーサン・フローム』)は、かつて科学的な知見に関心を持っていた主人公を、語り手が観察し物語を築くという構造を持つ小説であり、より詳細な検討を加えていくことになるだろう。また、作家と思想家との相互関係は19世紀前半にまで遡ることができることを確認した。この関心においてナサニエル・ホーソーンやエドガー・アラン・ポーの作品が次年度以降において重要な調査対象となるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により海外での資料調査を行うことができなかったため完全とはいえないが、次年度以降の調査に必要な基礎的な資料の収集が進んだ。またそれらのうち、今後の調査における方向性を示すような記述を見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、本年度に行なった調査をより具体的なものにしてゆく。コロナ禍により海外への調査等が可能かどうかは引き続き不透明なため、文献調査と論文による成果の発表を軸に活動を行うことになるだろう。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により海外での調査を行うことができなかったため、それに使用する予定だった金額分の残額が生じた。次年度も引き続き研究費を旅費として使用できるかどうかが不透明なため、当年度の残額は研究資料を購入する費用に充てる見通しである。
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