2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K12969
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
木島 菜菜子 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 講師 (90710418)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 風景描写 / ディケンズ / 風景 / 19世紀イギリス小説 / 『大いなる遺産』 / 『二都物語』 / 『オリバー・ツイスト』 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、これまで十分に研究されてきたとは言えないディケンズの作品における風景の表現を、作品執筆の意図や作品の主題との関係も考察しながら、多角的に分析することを目的としている。3年目の令和4年度における研究実績は以下の2点である。 (1) 昨年度の研究実績の概要に記載した、小説『大いなる遺産』と『二都物語』における風景描写を論じた論文について、校正作業を全て終了した。本論文は令和5年6月刊行の国際雑誌*Dickens Quarterly* Vol. 40, No. 2に掲載予定である。 (2) 令和4年7月、国際学会Dickens Societyでのラウンドテーブル Dickens, Decolonization and Global Political Emergencies において、“Exploring Decolonial Reading Possibilities:*Oliver Twist*, *Shoplifters*, and Silenced Voices”と題した口頭発表をおこない、現代日本で制作された映画作品について、その都市の風景の表現などに、ディケンズの作品における社会性が間接的に継承されている可能性を議論した。 (3) 同年12月、(2)に記載した原稿を大幅に加筆修正して、日本英文学会関西支部で口頭発表をおこなった。 なお、一昨年度の研究実績の概要に記載した、書籍『西洋村落譚』(リアリズム文学研究会編、初校作成待ち、堀之内出版)および『名作入門シリーズ「大いなる遺産」(仮題)』(佐々木徹監修、初校作成待ち、大阪教育図書)の原稿については、どちらも初校作成が遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況の判断理由は以下の3点である。 (1)上記「研究実績の概要」(1)にある通り、研究実施計画に挙げた項目について、成果物が国際誌に掲載される。 (2)上記「研究実績の概要」(2)に記載したラウンドテーブルへの参加は、研究実施計画には挙げていなかったが、ディケンズの風景描写の研究を進める過程で一つの成果として国際会議での発表をおこなうことができた。 (3)当初の計画には入れていなかったが、本研究課題を遂行する中で、19世紀英文学における風景という観点から、トマス・ハーディの作品の分析をおこなうことができ、日本英文学会での研究発表の査読に通ることができた。 以上、3点の理由により、本研究課題はおおむね順調に進展していると言えるものの、(2)と(3)についてはディケンズのテクストを離れる結果となり、研究計画の通りに全てが進んでいるとは言い難い。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、以下の通り進めていく予定である。 (1)「現在までの進捗状況」(3)に挙げた内容について、5月に開催される日本英文学会において研究発表することが決まっている。発表の際に受ける予定のレビューやディスカッション内容をもとに、論文の形で発表できるよう研究を進める。 (2) 令和4年度にDickens Society Annual Symposiumおよび日本英文学会関西支部で行なった口頭発表の内容に関する現在執筆中の論文を完成させ、国際誌*19*に掲載する。 (3) 令和3年度に日本英文学会およびDickens Society Annual Symposiumで行なった口頭発表の内容に関する現在執筆中の論文を完成させ、国際誌*Dickens Studies Annual*に掲載する。 (4) 9月に1週間のイギリスでの調査と資料収集を予定している。
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