• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2021 Fiscal Year Research-status Report

標準語と方言の関係から見る「親密さ」と「疎遠さ」 -ドイツ語圏スイスを例にして

Research Project

Project/Area Number 20K13025
Research InstitutionKindai University

Principal Investigator

大喜 祐太  近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (60804151)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsスイス / ドイツ語 / 標準語 / 方言 / 地域的特性
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は,ドイツ語圏スイスで使用される書きことばの分析を通じて,テクストに出現する方言や変種の持つ意味を考察することにある。昨年度は,ドイツ語圏スイスにおける標準語と方言の関係の考察を行い,考察対象をスイス式標準語で書かれた各種テクストに定め,テクストに出現する方言的要素について,特に質的観点から分析した。今年度の研究では,文学作品のテクストに見られるスイス特有の語彙や構文,言い回しを調査することを通して,言語規範や言語使用者の規範意識についての考察を試みた。昨年度から引き続いて,質的研究を踏まえ,ドイツ語圏(特にスイス)のテクスト分析を通じて,地域的特徴がどのような文体的効果を与えているのかを考察した。
特に,本年度は 19 世紀ドイツ語圏スイスの文学者ヨハンナ・シュピーリの小説『ハイジの修行・遍歴時代』(Heidi’s Lehr- und Wanderjahre)を考察対象とし,1880 年にドイツ・ゴータの Friedrich Andreas Perthes から出版されたオリジナル版,およびその原書版に従っている 1978 年の Insel Verlag 版(それに従いつつ,正書法を改めている Insel Taschenbuch 版)と,当時の言語使用に合わせて作られた 1966 年の Muenchen のWilhelm Goldmann 版,Stuttgart の Boje Verlag 版を比較することを通して,オリジナル版に出現する方言的要素の析出を試みた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は,昨年度より引き続き,本研究のための基礎的な研究資料などの収集を進めた。テクスト分析のための実際の言語資料が必要とされるため,スイスの標準ドイツ語のテクスト(本年度は主にヨハンナ・シュピーリの作品)の収集および書き起こしなどの作業を行なった。加えて,当該作品を考察対象として,地域的(とりわけスイス的)語彙の抽出を行った。また,先行研究や辞書記述等に基づいて,スイスドイツ語およびスイス式標準ドイツ語の語彙を再確認し,実際の作品の中で出現する方言的要素とその効果について考察を行った。

Strategy for Future Research Activity

本年度は,上述したテクストにおける方言的要素とその効果の解明に努めるとともに,本研究の目標の一つであるスイス式標準ドイツ語データベースの構築を計画している。(特に書きことばにおいて)スイスのドイツ語の基本語彙・基本フレーズに関するデータベースの作成を行い,重要語彙に関する実践的な語彙集の製作を進めたいと考えている。

Causes of Carryover

2021年度に,スイスへ渡航し現地にて発表および文献調査等を行う予定であったが,出国や入国等に伴う業務過多が想定されたため海外渡航を見送り,計画を変更し国内での文献調査や学会発表のみを行うこととしたことによって未使用額が生じた。このため,発表と文献調査を次年度に行うこととし,未使用額はその経費と関連文献の購入費用に充てることとしたい。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] 『ハイジの修行・遍歴時代』のスイス的要素に関する覚書:標準ドイツ語版テクストとの比較を通して2021

    • Author(s)
      大喜祐太
    • Journal Title

      ドイツ文学研究

      Volume: 53 Pages: 49-54

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2022-12-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi