2020 Fiscal Year Research-status Report
The Historical Transition of the Structure of Japanese Language: Focusing on Conjecture Forms
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20K13049
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
北崎 勇帆 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 講師 (00847949)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本語史 / 文法史 / モダリティ / 条件表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、助動詞ム・ウの非終止用法(連体修飾・従属節構成)が時代を通じて単調減少的に固定化・衰退するという予測の批判的検討を通して、非終止用法の歴史的記述と、文の階層構造における位置付けの変化の解明を目指すものである。本年度は上記の目的に基づき、以下の成果公表を行った。 (1)近世期における従属節内の助動詞の生起の可否を、コーパスを用いて網羅的に整理し、隣接する時代との差異(例えば、現代語で「だろうから」が可能なカラ節は、定着期の近世前期にはウ類を包含しない)を分析した。(「近世における従属句の階層性」、「通時コーパス」シンポジウム2020オンライン、2020年9月13日) (2)現代語では容認されない従属節末における意志のウ類の生起(e.g. ご飯を食べようから)が中世・近世期に見られることを指摘し、その史的変遷について論じた。(中世・近世における従属節末の意志形式の生起、近代語学会2020年度研究発表会、2020年12月5日) (3)近世の戯作『春色梅児誉美』を近代に口語訳した「新訳」作品を新資料として紹介し、原作のウをダロウに、ナゼ~ダロウをナゼ~ノダロウに、従属節内で意志を表すウ(→2)を基本形に、といった改変事例を挙げ、当代話者にとって原作の当該表現が古い表現であったことを示した。(「近代に口語訳された三種の梅暦」『近代語研究22』武蔵野書院) (4)ロドリゲス『日本大文典』の従属節末における意志・推量形式の記述において「話しことば」と「書きことば」とがうまく対応しないことを示した上で、それがロドリゲス自身の言語意識を反映するものであることを指摘した。(「『日本大文典』の意志・推量形式と「話しことば」「書きことば」」『高知大国文』51) (5)その他、コーパスを用いた希望表現形式の歴史記述も行った。(「欲しい」『日本語学』39(2))
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記概要に示したほかに、(1)と他2本を論文として入稿済、(2)は論文として投稿中であり、本研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は概要(1)と同手法による他時代の共時的分析を引き続き行い、従属節の階層構造の史的変遷の記述を行うことを今後の長期的目標としたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、当初予定されていた学会・研究会がオンラインに移行したため。次年度も同様の状況が予測されるので、適宜書籍やデータ作成の費用に充当する。
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Research Products
(5 results)