2021 Fiscal Year Research-status Report
The Historical Transition of the Structure of Japanese Language: Focusing on Conjecture Forms
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20K13049
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
北崎 勇帆 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 講師 (00847949)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本語史 / 文法史 / モダリティ / 条件表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、意志・推量を担うム・ウの非終止用法(連体修飾・従属節構成の機能)の歴史的記述と、文の階層構造における位置付けの変化の解明を目指すものである。本年度は上記の目的に基づき、以下の成果公表を行った。 (1)ホドニ・ガなどの従属節について、これらの節が推量類を包含する時期に、否定のマイが早く、肯定のウに波及するという時期的な差があることを明らかにした。(「意志・推量形式の従属節への取り込み」『中部日本・日本語学研究論集』和泉書院,2022年1月) (2)現代語では容認されない従属節末における意志のウ類の生起(e.g. この本を貸しましょうから、読んでください)が中世・近世期には見られることを指摘し、その史的変遷について論じた。(「中世・近世における従属節末の意志形式の生起」『日本語の研究』17(2),2021年8月) (3)近世期における従属節内の助動詞の生起の可否を、コーパスを用いて網羅的に整理し、隣接する時代との差異(例えば、現代語で「だろうから」が可能なカラ節は、定着期の近世前期にはウ類を包含しない)を分析した。(The Layered Structure of Subordinate Clauses in Early Modern Japanese, EAJS2021, 2021年8月25日) (4)例えば現代共通語の原因・理由節においては、機能が広く「明日は雨が降るだろうから」のように推量類を包含可能なカラと、それが許容しにくい機能の「狭い」ノデがある。他方で、カラも時代を遡るとダロウを包含し得なかった時期があり、他の形式においてもこうした機能拡張の傾向が認められる。この拡張を一般的な傾向と見た上で、そうした傾向の存する理由についての分析をおこなった。(「原因・理由と話者の判断」、筑紫日本語研究会 第288回研究会、2021年12月27日)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した(4)は本研究の最終的な到達目標の一つである。(3)(4)と、他2本を論文として入稿済であり、本研究は当初の研究計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究成果の公開を行いつつ、本研究の総括を行うことを目指す。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、当初予定していた旅費等の支出がなくなったため。
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Research Products
(4 results)