2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Historical Transition of the Structure of Japanese Language: Focusing on Conjecture Forms
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20K13049
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
北崎 勇帆 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (00847949)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本語史 / 文法史 / モダリティ / 条件表現 / 文体史 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)現代共通語の原因・理由節においては、機能が広く「明日は雨が降るだろうから」のように推量類を包含可能なカラと、それが許容しにくい機能の「狭い」ノデがある。他方で、カラも時代を遡るとダロウを包含し得なかった時期があり、他の形式においてもこうした機能拡張の傾向が認められる。この拡張を一般的な傾向と見た上で、そうした傾向の存する理由についての分析をおこなった。(「原因・理由と話者の判断」『日本語文法史研究6』ひつじ書房,2022年11月) (2)古代語の希望表現について、形容詞系の願望の形式(ほし、~まほし、~たし)が、古代語では「ケーキを食べたい」のように文末に生起することは稀であり、終助詞系の形式(~てしか、~ばや)と住み分けられていたこと、それが形容詞系に統合される形で変化したことを論じた。(「希望表現の史的変遷―願望を中心に―」『コーパスによる日本語史研究 中古・中世編』 、ひつじ書房、2022年10月) (3)「なぜかといえば」のように、話者が疑問文の不定項を自ら説明する表現がある。こうした「不定語疑問文の主題化」について、元来の和文がこうした方法を持たず、漢文訓読によって日本語に生まれた表現であることや、その歴史について明らかにした。(「不定語疑問文の主題化」、「「抄物コーパス」の構築とコーパスを応用した日本語史研究」2022年度第1回研究発表会 2022年12月3日) (4)上記(3)のような表現は、所謂「口語資料」には見出されるものの、典型的な対話には用いられにくい。従属節の分裂文である「~のは~からだ」もそうした表現の一つであり、古代語の「~ばなり」の使用状況の報告と併せて、こうした「理屈っぽい」表現の成立・定着の過程について、考察を行った。(「条件表現史上の「理屈っぽい」表現」、第10回 川島拓馬を囲む会(富山日本語史研究会)、2022年12月29日)
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Research Products
(5 results)