2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K13053
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
苅宿 紀子 和光大学, 表現学部, 准教授 (80608828)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 現代日本語 / 話しことば / 談話 / 雑談 / 後置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「話し手が何をしようとしているのか」という視点から、話し言葉における後置現象の形態的特徴と機能を明らかにすることである。日本語の話し言葉においては「楽しかったけどねオレハ」「それ思うホントニ」のように述語よりも後に文の要素を置く現象がみられる。「後置現象」は、その発話内での話し手の意識の推移が如実に現れた現象であり、会話の動的展開を考察するのに適していると考えられる。 研究初年度は、後置発話の前後の発話も分析対象とし、特に他者の先行発話の形式からの影響を重視して、会話の展開と後置現象の生起の関係を考察した。具体的には大学生三者の自由会話を調査資料とし、後置発話の中でも後置要素が命題内容の伝達に必要なタイプの用例を分析対象とした。他者の先行発話の形式に影響を受けて後置発話が出現する場合には、【繰り返し】や【言い換え】等との関連があることを考察した。また、他者の先行発話の形式に影響を受けない用例については「情報の補足」という観点から考察した。 親しい三者間の会話では、三者の発話が入り組んで会話が進んでいくことが多い。先行研究では不十分であった後置発話の前後の発話についても分析し、文法的に自然か否かという観点だけでなく、会話の流れの中でなぜ後置発話が出現するのかを明らかにすることを目指した。 この成果については表現学会東京例会(オンライン開催)において「雑談の後置現象からみた会話の展開」として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症への対応のため、本研究課題以外のエフォートが例年よりも大幅に増えたため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度に扱わなかったタイプの後置発話も含めて、後置現象の全体について記述していきたい。その際に、記述の精度を高めるための方策を検討したい。
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Causes of Carryover |
学会中止、オンライン開催等により旅費が発生しなかったこと、研究に遅れが生じたことが理由である。次年度以降は適切な使用に努める。
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Research Products
(1 results)