2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K13053
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
苅宿 紀子 和光大学, 表現学部, 准教授 (80608828)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 現代日本語 / 話しことば / 談話 / 雑談 / 後置 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、話し言葉における後置現象について、その形態的特徴と機能を明らかにすることである。後置現象とは「辞書が多いの、ほんとに」のように述語よりも後に文の要素を置く現象である。 研究最終年度にあたる令和5年度は、昨年度に引き続き副詞の後置の分析を行った。副詞の中でも特に後置の頻度が高い〈本当に〉を取り上げ、発話における出現位置と用法について考察した。昨年度から述語前置の用例と述語後置の用例とを両方、採集して考察していたが、それに加えて今年度は相づち・応答の用例も取り上げ、〈本当に〉の用法の全体を見ながら考察した。述語前置の場合は、発話冒頭の要素の後にあるか、文の要素の後にあるか、述語後置の場合は、焦点を含む述部の後にあるか、話題終盤の発話の述部の後にあるかで分類した。 真偽判断の〈本当に〉は発話の中での位置が比較的自由であり、様々な位置に現れる。述語を中心として発話を考えた場合に、述語前置でも述語後置でも、述語から離れた位置に置かれるものは、発話内部の特定の述語に係るだけではなく、先行する発話と関連していたり、発話全体に対する話者の態度が示されたりしていることを指摘した。また、後置の例の中には〈本当に〉を述語前置にすると、後置の場合と発話全体の意味が異なるものも見られ、談話レベルで考えた場合に後置の方が発話として自然である例があることも指摘した。 この成果については『国文学研究』200(印刷中)に論文としてまとめた。 副詞の種類によっても発話内の位置による意味・機能が異なるため、〈本当に〉以外の副詞についても分析を進めた。この成果については表現学会全国大会(2024年6月)にて「発話における副詞の出現位置と用法」として発表予定である。
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Research Products
(2 results)