2020 Fiscal Year Research-status Report
New Research on the History of the Representation of Japan in the Late English Renaissance and Early Enlightenment Eras
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20K13163
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 東西交流史 / イギリス・ルネサンス / 日本関係英語文献と図像 / 出版史 / イエズス会史 / 日本像 / 啓蒙時代 / 日本記述と日本認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、1555年から1680年代までに成立した日本関係英文史料の分析に主眼を置く。この約130年間を、①1555-1610年代初期(日本情報収集と日本進出の準備期)、②1613-23(平戸商館の開館期、徳川政権との交渉期)、③1620年代後期-80年代末期(日本貿易再開に向けた試みと情報収集、東南アジア海域における日本人との接触の時期)に分け、イギリス・ルネッサンス期から啓蒙時代の出版事業のもとで公刊・翻訳された A)地誌・科学・航海・旅行、B)宣教・殉教、C)交渉・貿易に関わる文献、D)図像史料(扉絵・寓意画・地図など)から日本関係の記述・描写を抽出し、日本を含むアジア諸地域で活動したイギリス人および他のヨーロッパ諸勢力の日本記述と日本認識、彼らの情報が翻訳や印刷のかたちで普及したイギリスにおける日本像形成・変容の過程と特徴を考究することをめざす。 研究第一年目の本年度は、①日本関係英国史料についての基本二次文献を収集と分析を行った。②国内調査の一環として『集成』収録の文献原本の調査を実施し、資料の保管現状を把握した。並びに、複写も入手でき、③史料を整理・分析最中である。そして整理できた史料に基づいて、今なお手付かずの資料は多いことを理解し、それらを活用してイギリスにおける日本像形成過程を追究していく必要性を再確認した。また、短時間で集中して多くの資料の整理・分析・処理の促進のため、文献リストとしてまとめ、日本関係研究の重要箇所のデーターベースを作成してきた。④社会への研究成果の発信として、2020年12月12日に日本西洋史学会第70回大会において研究報告を行った。「カトリック迫害下のイングランドをめざして―イエズス会士エドマンド・キャンピオンとその同志たちの記録に見る彼らの「希望」―」をテーマにした報告を通じて多くの方々から貴重なコメントや質問を頂いた。 以上4点に力を注ぐことによって、一層深い理解が可能になりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内外における移動制限や人との接触制限によりフィールドワークや図書・文書館調査、縮小・中断を余儀なくされた。具体的に、研究第一年目の本年度は、関東地方で東洋文庫、東京大学史料編纂所、上智大学キリシタン文庫、明治大学、専修大学図書館を訪問しての一次資料の確認と入手の予定がすべて不可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を推進するには、国内外の文書館・図書館の利用が必須である。2021年8-9月にロンドンとイタリアで調査を予定しているが、さまざまな国々や地域でのロックダウン状況や渡航中止勧告が解除される条件で、積極的に文書館・図書館の利用を開始し、柔軟に研究できることを願う。そして、まだ整理や分析中である資料をまとめながら、新しい史料の収集に務める。昨年行った発表に加えて整理中の史料に見えてくる新たな観点を論文にまとめ、その一部の研究成果を今年の8月に国際アジア研究者会議(ICAS)で発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2020年に実施の予定が新型コロナヴィルスの流行のため中止せざるをえなかったため予定額を使えなかった。第一年目に執行できなかった旅費や資料・文献購入費を2021年度に計画的に使用できるようにつとめる。予定しているイタリア及びイギリスの調査に充てるつもりである。
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