2021 Fiscal Year Research-status Report
New Research on the History of the Representation of Japan in the Late English Renaissance and Early Enlightenment Eras
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20K13163
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 東西交流史 / イギリス・ルネサンス / 日本関係英語文献と図像 / 出版史 / イエズス会史 / 日本像 / 啓蒙時代 / 英蘭の東インド会社 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目は宣教・殉教関係の史資料をヨーロッパ諸国のイエズス系会文書館やオックスフォード大学に求める予定であったが、コロナウイルスの長期的流行のため海外調査が不可能になり、実現できなかった。その代わりとして国内での調査を実施し、長崎歴史文化博物館、日本二十六聖人記念館、大村市歴史資料館、有馬キリシタン遺産記念館、そのほか長崎県内の東西交流史関連の各機関を訪問して現地発行の史料集、学術雑誌、その他の二次文献を購入し、その活用と読み込みに注力した。 また文献調査と並行して、各機関の館員の許可のもと、本研究に関する各種展示物(マニュスクリプト、前近代の出版物、図像、絵画、遺物など)を撮影し、それらも補完的に宣教・殉教関係の史資料における日本情報・描写の特色の分析に役立てた。 さらに上記に加え、東京都と長崎市で開催された東西交流史に関わる国際シンポジウムに参加し、日本の殉教史、とくにイエズス会・フランシスコ会・ドミニコ会の長期的な日本再布教の試みとその結末、広域的な日本情報の普及、マテリアル資料の観点より見た日欧交流史の最新研究成果に触れることができ、今後の研究の発展に資する知見を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「概要」に記載したとおり、コロナ禍の渡航制限により、当初予定していたヨーロッパ諸国のイエズス系会文書館やオックスフォード大学などを訪問できず、またオンラインでの史料請求も現地でのスタッフ不足から、一次史料の入手に遅れが生じているため。 また研究状況の公開については、オランダに本部を置く国際アジア研究者会議(ICAS)の第12回(京都精華大学にて開催)に採択され、報告を予定していた。ところが先述した史料入手の遅れに伴い、それらの史料紹介を軸とした研究報告を中止せざるを得ず、出席を見送った。 国内調査を通じて入手・撮影した史資料を活用しながら研究を進められてはいるが、学界で光を当てられていない「新史料」の採集・分析には至っていないため、研究の進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の状況を見ながら、2022年度の夏季と冬季に一定期間、文書館史料の調査をおこなう。まず国外調査ではヨーロッパ諸国のイエズス系会文書館やオックスフォード大学などを中心に、また国内調査では関連の文庫・博物館・図書館・研究機関・大学を訪問する。本研究テーマの遂行に必要な一次史料を採集し、個々の研究課題・研究計画に照らしてそれらを読み解いていく。さらに、これまで国内で収集済みの史資料を併用しつつ、研究の進展を図る。
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Causes of Carryover |
長期的な新型コロナウイルス流行により、本年度に海外文書館・図書館(ヨーロッパ諸国のイエズス系会文書館やオックスフォード大学など)における史料調査・収集・研究が不可能になったため、海外旅費の当初の予定額の全額を利用することができなかった。また時期によっては、国内で参加を予定していた研究会やワークショップの幾つかが中止・延期となったため、国内旅費に関しても部分的に残額が生じた。 2022年度は海外渡航制限が幾分緩和することを前提に、旅費の残額を計画的に使用することを心がけたい。また渡航・調査期間について、短期渡航を複数回とするか、もしくは長期渡航を実施するかについても柔軟に検討・対応する。物品費の残額については、国内外の諸機関所蔵の未刊行史料を継続的に請求することで有効的に活用していく。
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