2022 Fiscal Year Research-status Report
世紀転換期における日本イメージの対独発信:広報文化外交と戦時国際法の利用
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20K13165
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
堅田 智子 関西学院大学, 教育学部, 助教 (50802485)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日独関係史 / 日本イメージ / 広報文化外交 / 戦時国際法 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスの感染拡大の鈍化をうけ、応募時の研究計画、年次計画の大幅な見直しと修正を行った。 応募時の年次計画では、[個別研究A](平時における軍部、日本赤十字社、大学での戦時国際法教育)について、赤十字国際委員会ジュネーヴ本部アーカイヴ(ICRCアーカイヴ)での資料調査を想定していた。しかし、日本赤十字社本社での資料調査を進めるなかで、ICRCアーカイヴ所蔵資料の写しが日本赤十字社に所蔵されていること、新型コロナウイルスの感染拡大を一つの契機として、日本赤十字社が関連資料のデジタル化に着手していることが判明した。そのため、年次計画で予定していた海外調査のうち、ジュネーヴでの調査を中止とした。本研究課題では、このほかドイツでの資料調査を実施予定だが、2022年4月に研究代表者は所属研究機関を異動し、「その他の活動(教育)」のエフォートの増加をうけ、2022年度夏季、冬季に渡航と調査に必要な時間を十分に確保できず、実施できなかった。 海外調査を実施できない代わりに、[個別研究A]、[個別研究B](戦時における戦地での戦時国際法教育成果の実践)に必要な国内での調査、とりわけ博愛社/日本赤十字社関連資料を所蔵する日本赤十字社、日本赤十字豊田看護大学での資料調査を重点的に行った。このほか、すでに収集を終えている資料の整理、分析を進めたほか、関連するアーカイヴ、研究者との連携にむけて準備を進めた。 資料の収集、整理、分析に重点を置いたため、当該研究課題に直接関連する研究成果の発表を控えた。一方で、広報文化外交、「日本イメージ」の発信に関連し、当該研究課題と深く関連する自著『アレクサンダー・フォン・シーボルトと明治日本の広報外交』(思文閣出版、2023年)を出版した。自著の出版は、当該研究の遂行のみならず、広報外交研究の発展に大いに資するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況を「(3)やや遅れている」とした最大の理由は、新型コロナウイルス感染拡大により、海外での資料調査の見直しを強いられたこと、国内での資料調査を実施するにあたり、アーカイヴの利用制限があったことである。研究計画の大幅な見直しと修正を行い、利用制限が緩和された日本国内のアーカイヴでの資料調査を優先して実施することとした。 また、2022年4月に研究代表者の所属研究機関異動と「その他の活動(教育)」のエフォート増加も研究の進捗が遅延した一因である。応募時に本研究活動をふくめた研究のエフォートを70%と想定していたが、2021年度は「その他の活動(教育)」のエフォートが70%、2022年度は80%に上昇し、研究そのものに費やす時間を十分に確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、本研究課題をふくめた研究のエフォートを30%、「そのほかの活動(教育)」のエフォートを70%とし、本研究課題に費やす時間を可能な限り確保していく。年次計画および研究手法についても適宜修正を行い、[個別研究A]、[個別研究B]を重点的に進めていく。 本研究課題の要である国内外での資料調査については、夏季にドイツでの資料調査を優先して実施する。また、2022年度に集中的に実施した日本赤十字社、日本赤十字豊田看護大学での資料調査は、アーカイヴの開館が平日に限定されることから、長期休暇を利用して行う。
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Causes of Carryover |
本研究課題の遂行にあたっては、国内外での資料調査が必要不可欠である。応募時の年次計画では、2022年度夏季・冬季に計2週間の海外での資料調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の鈍化傾向が見られなかったこと、「その他の活動(教育)」のエフォートの増加により、十分な時間を確保できず、断念せざるを得なかった。 本研究課題は、助成金額に占める旅費の割合が高い。物価高騰とインバウンド需要、円安により、資料調査にかかわる旅費および資料複写費の支出増加が見込まれる。こうした事情をふまえ、2023年度についてはすでに交付予定額の変更を申請している。その上で、差額を物品費に振り替えるなど、現実的な措置を講じつつ、本研究課題を遂行していく。
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