2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K13171
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 光明 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (90811969)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 原徳斎 / 志賀理斎 / 三省録 / 松平定信 / 中井竹山 / 柴野栗山 / 徳川斉昭 / 藤田東湖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、幕末維新期に政治上で機能した尊王攘夷思想がどのように出現し、どういう経緯や形態で社会に流布していったのかという基本的な問題について、(a)「尊王攘夷」という語の形成過程、(b)尊王攘夷思想の流通過程、(c)尊王攘夷思想の変容過程の3点から再検討することを目的とするものである。具体的には、後期水戸学(会沢正志斎・藤田東湖等)はもとより、後期水戸学に前後する周辺の学知(昌平黌・吉田松陰等)や幕府の出版統制との関係等に着目する。2022年度の具体的な成果を以下に記す。 まず、一般読者も対象とした明治維新についての概説として、「王政復古」(山口輝臣・福家崇洋『思想史講義【明治篇Ⅰ】』ちくま新書、2022年)を執筆した。ここに、この数年間論文の公刊によって発表してきた新知見や論文作成段階では見逃していた事例を盛り込むことができた。 さらに、一般読者も対象とした寛政改革についての概説として、「寛政改革から「大御所時代」へ」(荒木裕行・小野将編『体制危機の到来 日本近世史を見通す3』吉川弘文館、2024年1月刊行予定)を執筆した。ここに、上記の「周辺の学知(昌平黌・吉田松陰等)や幕府の出版統制との関係」について新知見を組み込むことができた。 3年間全体としては、専門書・論文・一般書等で一通り新知見を提示することができたのではないかと思われる。引き続き、口頭報告や投稿論文等を通して残された課題を究明していきたい。
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Research Products
(2 results)