2020 Fiscal Year Research-status Report
日本中近世外交文書写本および外交文書集の史料学的研究
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20K13172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 真 東京大学, 史料編纂所, 助教 (50634036)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本史 / 交流史 / 外交文書 / 史料学 / 古文書学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の中近世において、諸外国とのあいだで交わされた外交文書の写本ならびに外交文書集について、現存しているものを幅広く調査・収集することを出発点として、実施計画を策定している。そのため、初年度にあたる令和2年度には、海外調査や出張を要する国内調査、およびそれにともなう史料収集を、重点的に実施することを計画していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大のため、残念ながらそれらのすべてを予定通りに遂行することはできず、海外での調査等は次年度に実施することとした。 ただし、それ以外のおおよそについては、状況に応じて修正を加えることで、対応できたと考えている。具体的に述べると、今年度は長距離の移動をともなわない地域において、『善隣国宝記』に関するものを重点的に実施することで、研究の遂行につとめた。同書は室町期の禅僧瑞渓周鳳が編纂した、古代・中世に関する外交資料集である。特に中世の外交文書については、写しの収録点数の多さにおいても、また他書に見られない文書を収録している点においても、随一と言えるもので、本研究の調査対象のなかで最重要の史料のうちのひとつと考えている。当然ながら、これまでの研究のなかでも考察対象となってきてはいるが、先行研究ではとりあげられてこなかったり、まだ検討の十分でなかったりする写本や、今日所在が不明な写本との対校結果が注記された版本などが存している。今年度はそうしたものの調査をおこない、それによって得られたデータと、これまで本研究開始以前に研究代表者が実施した調査によって蓄積してきたものとをあわせて整理した。そして、それによって、次年度以降の研究を遂行するための基礎を築き上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により、研究開始当初に見込んでいた通りには、計画を遂行することができなかった。今年度に予定していたことのほとんどについては、可能な範囲で修正を加えることで対応したが、一部は来年度へ繰り下げざるを得なかった。以上の理由から、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初令和2年度に予定していた海外調査は、可能であれば令和3年度中に実施したいと考えている。ただし、先行きは不透明であるので、実施できなかった場合の代替策として、所蔵先で写真撮影をしてもらうことも含め、先方と交渉中である。 また、今後調査等で出張する場合は、事前にPCR検査を受けたり、ワクチンの接種ができるようになり次第接種したりするなどして、円滑な実施に最大限注意を払うこととする。 その他の事柄については、状況に応じて適宜修正を加えることで対応したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、今年度に予定していた海外での調査を延期したために、次年度使用額が生じた。次年度にその調査を実施できればそれに使用するが、不可能な場合は、史料画像等の購入費や国内での調査にあてる予定である。
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