2020 Fiscal Year Research-status Report
Intelligence on China in Documents of the Tsushima So Family
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20K13175
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
程 永超 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (80823103)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 対馬宗家文書 / 東アジア国際秩序 / 対馬藩 / 中国情報 / 朝鮮王朝 / 唐兵乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の分析は、主に膨大な対馬藩の宗家史料に依拠している。日本と韓国の七ヶ所に分散されている対馬藩宗家文書に基づき、対馬口から入った中国情報を、国際外交に影響を与えたとされる史実からその伝達実態を解明し、朝鮮・対馬ルートの歴史的意義を評価したい。 2020年度については、17-19世紀日本・朝鮮・中国三国間関係史研究の一環として、まずは、一六〇四年の釜山開市をめぐる対馬藩、朝鮮王朝、朝鮮王朝の背後に控えていたとみられる明朝中国、対馬藩の背後に控えていた日本の中央権力(徳川幕府)をも併せた四者相互の関わり合いを分析し、壬辰戦争(1592~1598)の戦後処理である日朝貿易関係の回復は日朝二国間交渉の問題ではなく、日本(対馬と徳川幕府)・朝鮮・明朝の四者に関わる問題であることを究明した。 そして、中国で出版された『朝鮮通信使筆談文献研究』を紹介することを通じて、日本・中国・韓国の研究動向を紹介し、近年関心の高まりつつある通信使の筆談研究に関わって、その意義と課題について論じた。 さらに、近世初期の対馬藩による中国情報収集活動(「訳官使・通信使とその周辺」研究会・第2回サブグループ、2021年2月20日)及び朝鮮通信使の来日による中国情報収集活動(日本思想史研究会11月例会、2020年11月29日)に口頭発表を行い、対馬宗家文書の記録と『華夷変態』に収録された朝鮮・対馬経由の情報との比較検討を通じて、対馬藩が中国情報収集を開始する動機を解明し、対馬藩にとっての大陸情報収集活動の意義を明らかにしたく考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、国内外の史料調査がすべて実施できておらず、史料収集が不十分であるため、本課題の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年4月から長崎県対馬歴史研究センター所蔵の宗家文書の史料閲覧が開始したので、対馬所蔵分の宗家文書をメインに史料調査を行う予定である。そこで収集する史料を使って、口頭発表した内容を修正・補足する予定である。さらに、手持ちの史料と付き合わせて、新知見を得てから、口頭発表・論文執筆する予定である。また、海外渡航が再開する次第、韓国所蔵の関連史料の収集を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により現地調査ができないため、旅費は使用できなかった。 来年度は、長崎県対馬歴史研究センター及び宗家文書のほかの国内所蔵機関の史料調査を実施し、状況改善次第、韓国での現地調査を実施する予定である。
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Research Products
(7 results)