2021 Fiscal Year Research-status Report
文書の作成・活用・保存に着目した前近代朝廷儀礼の復原的研究
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20K13176
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| Research Institution | Yamaguchi University |
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Principal Investigator |
黒羽 亮太 山口大学, 人文学部, 講師 (90867392)
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2020-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 朝廷文書 / 儀礼 / 政務 / 古代 / 中世 / 前近代 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主に中近世の「朝廷文書」の調査によって得られた知見を、現存する史料が少ない古代の朝廷儀礼（政務や祭祀なども含む）の復原的な研究に活かすことを目標としている。
２年目にあたる本年度も、昨年度と同様に新型コロナウイルス感染症が拡大する状況の中で、①主にこれまで収集してきた史料などを活用しながら研究するとともに、②時勢を見極めて史料の所蔵機関等での調査を進めることとした。
①については、昨年度に引き続き、手許に多くの史料カードがある山陵について検討した。各山陵は、それぞれの呼び名「陵号」を持ち、これで呼称されるが、平安時代後期以降、過去の天皇の「陵号」とそこに眠る天皇との関係について、誤認、混乱が生じるようになった。その原因について、当時の政務の在り方を確認すると共に、日記等に残された貴族たちの思考の跡を正確にたどることによって、誤解が生じた背景を分析した。
誤解は山陵に対する忌避によって生じたものではなく、山陵制度の転回によって、古代の制度が中世の実態と齟齬を来すようになったことが背景にあることに気がついた。また山陵に関する事柄みならず、平安時代の貴族社会において〈知の在り方〉の変容があったことがうかがい知れた。
以上は、黒羽亮太「陵号考」（『史林』104巻4号、2021年）にまとめて公表した。
②については、主に法会に関する中世文書についての調査を所蔵機関等で行った。これについても大きな発見があったが、コロナ対応の都合から出張が思うように行えなかった時期もあって、なお分析を深める余地がある。これについては次年度以降、研究発表と文章化を行う予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究にとっては、史料の実見が重要である。しかしながら、本年度も、新型コロナウイルス感染症への社会、あるいは所属機関の対応状況などにより、思うように出張が行えない時期があった。
しかし、昨年度の下準備のおかげで、調査を効率よく行うことにより、遅れは取り戻しつつあり、来年度には、本研究が計画当初想定していた軌道に復帰できるものと考える。
よって以上のように判断する。
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| Strategy for Future Research Activity |
2020・21年度は、新型コロナウイルス感染症への対応から史料所蔵機関での調査が思うに任せないことが多かったが、22年度は社会の対応状況も変化していくであろうと予想する。21年度調査での発見について、再度史料所蔵機関等に赴き追加調査を行い、検討を深めたい。またそれを踏まえて、研究発表、文章化による研究成果の公表が行えるよう、準備を進めていきたい。
また、21年度調査で集めた史料のうち、カード化できないまま溜まっているものを整理し、順次カード化を進めたい。
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Research Products
(2 results)
