2020 Fiscal Year Research-status Report
近代初頭の東京における議会・政党・住民間関係:首都の政治空間をめぐる歴史学的研究
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20K13179
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
池田 真歩 北海学園大学, 法学部, 講師 (30848289)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本近代史 / 日本政治史 / 都市史 / 議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は概略以下の通りである。 【①19世紀の都市と代議制導入をめぐる研究動向の検討(論文発表済*)】近世近代移行期の大都市(もっぱら東京と大坂)をめぐる1980年代以降の研究動向について、都市における代議の展開に関心を寄せる立場から調査・整理した。身分制研究と代議制研究の間の緊張関係や対話可能性などについて言及しつつ、今後の研究の進展にむけた論点を提起した。*池田真歩「成立期の近代都市と代議制」(『歴史評論』第851号、2021年2月) 【②福地源一郎・沼間守一の東京府政・区政をめぐる認識・関与(論文投稿中)】初期東京府会の指導者として知られる福地と沼間について、彼らの来歴・政治観・歴史観などを、東京府政・区政に対する具体的な関与のあり方と突き合わせつつ検討し、両者の比較対照を通じて明治初年の東京における代議の特質を考察した。考察の成果は英語論文として執筆し、都市史を専門とする国際学術誌に投稿した。現在は査読中である。 【③幕末維新期の江戸町会所・東京会議所(論文執筆中)】幕末維新期の江戸町会所・東京会議所に関する史料を悉皆的に調査した。公刊史料、および先行研究において利用されてきた一次史料に加え、東京都公文書館・国立公文書館・国立国会図書館古典籍資料室などで未使用の史料を調査したことで、現在入手可能な史料はほぼ手許にそろったものと思われる。現在これらの史料にもとづいて、町会所の再編・廃止~会議所~初期東京府会をめぐる論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、研究課題が対象とする時期を【1】幕末から明治初年、【2】自由民権運動期、【3】帝国議会開設前後から日清戦争前後、【4】日清戦後から日露戦争前後に分けたうえで、本年度は【1】【2】の時期についての研究を完了させる予定であった。しかしながら、上記の研究実績の通り研究成果の一部は本年度のうちに発表ないし投稿できたものの、当該期に関する最も実証密度の高い論文の執筆が年度内に終わらず、投稿は次年度に持ち越された。遅れの外在的な要因としては、新型コロナウイルスの流行により、史資料の調査計画が年度終盤および次年度以降にずれ込んだことや、蔵書が充実している近隣大学の図書館利用が制限され、新聞復刻版等の効率的な利用が難しくなったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
①整備の進む各種デジタルアーカイブスやデータベース、また史資料の遠隔複写サービスを活用して、遠隔でも可能な史資料の収集を精力的におこなう。主要新聞新聞・雑誌については研究課題の対象期間について論説の目録を作成し、効率的な調査がおこなえる態勢をいっそう整える。『信濃毎日新聞』のような地方紙のデータベースも活用し、東京の動向を全国的な情勢のなかに適切に位置づけるべく調査を進める。 ②新型コロナウイルスの流行が鈍化ないし収束するタイミングで、集中的に史料調査をおこなう。次年度も引き続き海外調査は困難だと思われるが、年度中盤から後半にかけ、東京都(東京都公文書館・国立国会図書館)・長野県(駒ヶ根市立博物館・松本市立図書館・長野県立歴史館)・鳥取県(鳥取市歴史博物館)などにおける史料調査を予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により、次年度以降に延期した史料調査計画が複数あり、主に旅費の使用額が予定額を下回ったため。
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Research Products
(1 results)