2020 Fiscal Year Research-status Report
戦間期日本における「新外交」と国際連盟‐満洲事変への対応を中心に‐
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20K13182
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
樋口 真魚 成蹊大学, 文学部, 講師 (00822793)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本外交史 / 「新外交」 / 国際連盟 / 不戦条約 / ワシントン体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、満洲事変における日本の対国際連盟政策(=連盟外交)を、「新外交」への対応という観点から再検討するものである。1920年代の日本が「新外交」をいかに受容し、それが満洲事変を通してどのように変容したのかを明らかにしたいと考えている。 こうした目的を達成するために、本年度は満洲事変勃発から国際連盟脱退に至る時期を対象として、日本外交がいかなる戦略に基づいて連盟外交を展開していたのかについて検討した。具体的には、アメリカ理事会招請問題や国際連盟規約第15条適用問題への外務本省および日本代表部(国際連盟に派遣された日本外交官)の対応について、おもに日本側の史料の分析を通して検討した。その結果、日本外務省は①国際連盟規約第16条の対日適用を回避するために、自らが有利となる国際連盟規約の解釈や運用の実現を試みていたこと、②国際連盟による紛争解決手続きが国際連盟規約に合致していないと主張することで、連盟外交を有利に進める戦略を描いていたことが明らかとなった。以上から、満洲事変期の日本外交は国際連盟の紛争解決手続きが法的に正当か否かという、極めて技術的な次元での解釈論争に活路を見出していたことを指摘した。また上記の知見を踏まえ、戦間期日本における「新外交」の受容過程や満洲事変の意義について再検討を試みた。 以上の研究成果については、『国際連盟と日本外交』(東京大学出版会、2021年)序章および第1章として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
夏にジュネーヴで史料調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も海外での史料調査が困難となる可能性が高い。そのため、国内史料の収集や調査を優先的に進めることとしたい。
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Causes of Carryover |
夏にジュネーヴで史料調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止したため、次年度使用額が生じた。次年度に海外調査を実施するか、図書購入費を増額することを検討している。
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Research Products
(1 results)