2021 Fiscal Year Research-status Report
戦後の炭鉱における労働・労働災害史に関する基礎的研究
Project/Area Number |
20K13184
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐川 享平 早稲田大学, 大学史資料センター, 助教 (30756375)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本史 / 炭鉱労働 / 労働災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 本研究は、戦後の日本炭鉱史を労働と労働災害の視座から検討することを目的とする。より具体的には、ともに個人所蔵の未整理資料である「三菱高島礦業所端島炭坑関係資料」(仮称、以下・「端島資料」と略す)と「原田正純旧蔵三井三池炭鉱炭じん爆発事故患者関係資料」(仮称、以下、「三池資料」と略す)を調査・整理・活用することにより、戦後の炭鉱における労働災害と、労働災害をもたらす炭鉱労働のあり方・環境を多面的に分析・解明することを目指すものである。 【研究実施計画】 この目的のため、本研究では、(1)「端島資料」と「三池資料」の保全・整理・目録作成、(2)両資料の来歴・性格および関連資料の調査・把握、(3)両資料ならびに関連資料の分析を通じて労働と労働災害の視座から戦後日本炭鉱史を再構成する、という3つの課題を設定し、課題(1)・(2)を〈基幹的研究〉に、課題(3)を〈発展的研究〉に位置付けている。本年度はこのうち、昨年度に引き続き〈基幹的研究〉に注力し、課題(1)を継続するとともに、新たに課題(2)にも着手した。 【研究成果】 課題(1)では、「端島資料」について、資料の一部を所蔵者より預かり、整理作業を継続した(前年度より継続)。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大によって現地調査が困難な状況が継続するなかで、所蔵者との調整の結果、「端島資料」を一括して所蔵者より引き取ることとし、資料の搬出・移送、ならびに、殺虫・カビ拡大防止のための応急的な保全措置をとった。また、「三池資料」については、昨年度より継続して、資料の大半を占める患者からの聞き取り記録の文字起こしに注力した。課題(2)については、長崎県長崎市および福岡県大牟田市での現地調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、現地訪問が困難な状況が継続したため、前年度同様、現地での資料整理作業が不可能になった。さらに、当初、本年度半ば頃を予定していた「端島資料」の引き取り・搬出作業が、年度末にずれこむことになった。そのため、前年度の遅れを全面的に取り戻すまでには至らなかったが、「端島資料」の引き取りが完了したことによって、今後の円滑な計画遂行を可能とする基盤が固まったため、遅延の挽回は可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
「端島資料」(ダンボール箱約40箱分)を一括して勤務地に移送したことにより、今後は、当初の予定以上に円滑な計画の実施が可能となる見込みである。次年度以降は課題(1)の遅延を挽回しつつ、今年度より着手した課題(2)を継続しながら、課題(3)に着手することとする。 なお、研究代表者の所属先変更に伴い、令和4年4月より、勤務地が東京都から千葉県に変更となったが、研究推進上の支障は発生しない見込みである。
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Causes of Carryover |
九州地方への複数回の出張と、研究補助者を雇用しての現地での作業を計画していたが、「現在までの進捗状況」で示した通り、新型コロナウイルスの感染拡大により、予定の大半を断念せざるを得なかった。このために計上していた費用の一部は、「端島資料」の引き取りに伴って必要となった運搬・保管等の費用に充てたが、なおも、旅費・人件費・物品費に次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、引き続き必要となる「端島資料」の保全・管理のための費用と、やや遅れている資料整理作業を挽回するための人件費として、主に使用する計画である。
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