2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K13186
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
山本 春奈 大谷大学, 真宗総合研究所, 研究員 (00844359)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 起請文 / 神仏 / 勧請神 / 戦国大名 / 寺社 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画では、いくつかの戦国大名家および寺社の起請文を事例に研究を進める予定であったが、2020年度の途中に勧請神の記載状況を全国規模で考える必要が生じた。また先行研究でも起請文の整理・分析が地域や家、寺社ごとに個別に進められてきたため、起請文の全体像が見えないといった問題が残されている。そこで2021年度は、これまでに収集した史料および新たに収集した史料をもとに、中世日本で発給された起請文のデータベースを作成した。 起請文を地域的・時代的に幅広く収集するため、主に刊行済みの史料集から史料を収集した。具体的には『大日本古文書 家わけ』シリーズ、時代別遺文シリーズ、各自治体の主要な資料編、その他各種史料集を使用し、神仏名および罰文(「照覧」のみも含む)の記載がみられる文書を博捜的に収集した。それらは順次、年月日、起請文発給者・受給者名、文書名、神仏名、罰文、出典、所収史料集などの項目別にデータ化していった。 なお、当初は中世後期に発給された起請文を対象としていたが、勧請神の時期的変遷についても見通すべく、起請文が現れ始めた平安時代以降、中世全体に収集範囲を拡大した。その他、寺社関係の史料集で未確認のものが複数見つかるなど、収集の必要な史料集が予想以上に増加したものの、史料収集・データ入力はほぼ完了しており、4000件を超える事例が集まった。これらは大きく東国編・西国編の2編に分けて『歴史の広場』(「大谷大学日本史の会」発行)に順次掲載する予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
史料の収集範囲を中世後期から中世全体に拡大したことで確認の必要な史料集が大幅に追加された。そのため、史料収集に想定以上の時間がかかり、年度内のデータベース完成に至らなかった。しかし収集・データ入力はほぼ完了しており、データベースの公開目途も立っているため、上記進捗状況とした。
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Strategy for Future Research Activity |
データベースの前編として、東国を中心に約2000件のデータを2022年12月刊行予定の『歴史の広場』に掲載する予定である。後編も2023年度に同誌に掲載するため、前編完成後に引き続き準備を進めたい。なお、確認できていない一部史料集について、国立国会図書館や他大学図書館で閲覧する予定である。 データベース完成後は、それをもとに勧請神の全国的傾向や各地域の特徴などについて整理・分析を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響および研究計画の変更により、2021年度も山口県立文書館などでの史料の原本調査を見送った。また、史料収集を大谷大学図書館およびWebで閲覧可能な史料集から優先的に行ったため当初予定していた旅費の支出がなかった。 今後、国立国会図書館・他大学図書館での史料収集を複数回行う必要があるため、その旅費・複写費に充てるほか、引き続き史料集などの図書購入費としても使用する予定である。
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