2022 Fiscal Year Research-status Report
寺院組織と史料管理システム解明に基づく寺院史料体系の復原的研究-寺誌を中心に
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20K13190
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Research Institution | Kanagawa prefectural Kanazawa bunko museum |
Principal Investigator |
貫井 裕恵 神奈川県立金沢文庫, 学芸課, 学芸員 (40782868)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 日本中世史 / 中世寺院史 / 古文書学 / 寺院組織 / 寺院史料論 / アーカイブズ / 寺誌 / 書誌学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、中世史料の書誌的な特質を考察し、本研究がその対象に据える中世東寺の執行組織におけるアーカイブズ形成について究明した。 すなわち、前者では、「名古屋市蓬左文庫蔵『侍中群要』紙背文書について(上)」(『金沢文庫研究』350、2023年3月)において、金沢文庫本における料紙の二次利用のありようを考察する前提として、紙背文書および墨映文書等を紹介し、書誌情報を整理した。また、金沢文庫本について、アーカイブズ形成の観点からその概観を論じた(「金沢北条氏の面影―金沢北条氏のアーカイブズ形成から」神奈川県立金沢文庫編『金沢文庫の肖像』、2023年3月)。一方で、称名寺聖教・金沢文庫文書における料紙の二次利用については、神奈川県立金沢文庫編『兼好法師と徒然草 ─いま解き明かす兼好法師の実像─』(2022年5月)において、兼好法師の実像が同史料群の特質を解明することから明らかとなることを題材として、展覧会開催を通じて、一般にもわかりやすく説明することができた。 後者については、「東寺執行阿刀家とその伝来史料について」(『日本中近世寺社〈記録〉論の構築 日本の日記文化の多様性の探究とその研究資源化 報告書』東京大学史料編纂所、2023年3月)にて、中世東寺執行家に伝来した史料群の特質を抽出し、寺院運営とのかかわり、阿刀家における記録類の書写と継承の観点から、アーカイブズ形成の様相を論じた。一方で中世東寺寺家におけるアーカイブズ形成については、東寺観智院金剛蔵聖教の形成について、とくに南北朝期を中心に動的にとらえるべく、流出史料を含めた復元研究を進めた。これに関連して、「國學院大學図書館蔵「仁平三年御齋会記(紙背 康応二年〈明徳元年〉観智院賢宝日記)」(同上、2023年3月)では、具注暦記とその紙背の紹介を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のとおり、中世寺院に集積された古文書およびその紙背にみえる典籍ないし聖教について、書誌学的な検討をはじめ、調査成果を発表することができた。今後、他の典籍や聖教類の調査を実施し、書誌情報を整理していくことで、論文執筆に向けた準備を進めたい。 一方でコロナ禍により、史料調査、とくに寺院史料調査の実施がほとんど叶わなかった。状況をうかがいながら再開していき、本研究にかかる調査を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍により調査の実施が困難かつ見通しがつかない環境のなか、可能な限りの史料調査・研究を進めることができたので、今後状況を見極めつつ、調査を実施していくことで、本研究課題を進めていきたい。 また、本年度成果を発展的に検討した上で、論文として発表していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による調査出張が困難な状況になったため、次年度使用額が生じた。今後、規制緩和の状況に応じて、調査再開を試みていく予定である。
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Research Products
(6 results)