2020 Fiscal Year Research-status Report
Monarch's officers and cities in the medieval Catalonia -relationship between the Monarch and cities in the 13th and 14th centuries-
Project/Area Number |
20K13226
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
中嶋 耕大 関西外国語大学, 外国語学部, 助教 (90844712)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 西欧中世史 / イベリア半島 / カタルーニャ / 君主代官 / veguer / 都市 / 君主権力 / 地方行政 |
Outline of Annual Research Achievements |
重点的に検討する問題(13・14世紀のカタルーニャにおいて、君主代官をめぐって君主と都市はどのような関係を構築していったのか、そして、その関係が君主が企図した権力強化にどのような影響を及ぼしたのか)に取り組む第一歩として、本年度は、「研究実施計画」のとおり、史料の調査・分析をおこなった。しかしながら、新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大により、予定していた現地調査を断念せざるを得ず、調査方法とその成果については、大幅な見直しを余儀なくされた。具体的には、今年度は、デジタル画像や目録といったインターネットを通じて入手できる情報を活用し、各地の文書館の所蔵史料を調査・分析するに留まった。その結果、得られた知見は以下のとおりである。 まず、“Memoria Digital de Catalunya”(https://mdc1.csuc.cat/)というウェブサイト内でデジタル画像が公開されている古文書のうち、“1361, juny 8. .”と題されたデジタル画像の古文書(カタルーニャ図書館所蔵)には、君主がとある地所引き渡しの監督者として、主要な君主代官の1つである司法官(veguer)を指名したことが記されている。上述の問題に関連する内容を含む可能性があり、今後、より詳細な分析をおこなう予定である。 次に、バルセロナ市歴史文書館の所蔵史料目録によれば、同文書館には、司法官に関連する古文書が120あまり保管されている。それらの詳細(デジタル画像など)をインターネット経由で確認することはできないが、目録に記載されている文書内容の要約を精読し、調査・複写する古文書を決定する作業を現在進めている。また、同文書館には、司法官が主宰した法廷の判決・君主から司法官への書状・司法官発給の書状なども保管されており、それらの中にも上述の問題に関連する内容を含む史料が存在する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題の進捗状況については、大変残念ながら、「遅れている」と判断せざるを得ない。 新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大が、主として、以下に挙げる2つの側面で、当初の計画の実現を阻む要因となったためである。 1つ目は、予定していたスペインへの渡航を断念せざるを得なくなり、現地の文書館などで史料(一次史料および二次文献)の調査・複写をおこなうことができなくなったことである。 2つ目は、所属機関において、2020年度前期にオンライン授業が導入され、また、同年度の後期には一部科目でハイブリッド形式の授業への切り替えがおこなわれたことにより、研究代表者の担当科目に関連する業務(授業内容および実施方法の見直し・調整、新たな教材の作成、オンライン授業を運用するツールについての学習と実践など)が激増し、本研究課題に配分可能な時間が当初の想定よりも大幅に減少したことである。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、新型コロナウイルスの感染拡大が早期に収束した場合、「研究実施計画」のとおり、年度中に1回あるいは2回現地に赴き、各地の文書館などで史料(一次史料および二次文献)の調査および複写をおこない、帰国後にそれらを詳細に分析する。新型コロナウイルスの感染拡大が早期に収束しない場合、代替の手段として十分ではないが、各文書館の目録を主たる判断材料として、インターネット経由で一次史料となる古文書の複写を入手し分析するほかない。 2022年度・2023年度の研究実施計画(前者で、史料の分析結果を総合し、13・14世紀のカタルーニャにおいて、君主代官をめぐって君主と都市はどのような関係を構築していったのか、そして、その関係が君主が企図した権力強化にどのような影響を及ぼしたのかという問題について、仮説を立て、その成果を中間報告として所属学会などで発表する、後者で、最終的な研究成果を海外学会で報告し、論文として発表する)については、現時点では変更しない。 しかしながら、2020年度に研究計画の大幅な見直しを余儀なくされたことに加えて、2021年度も当初計画していた現地での史料調査が十分に実施できるか否かについては、極めて不透明な状況となっている。そのため、対応策として、考察対象とする都市については、一箇所あるいは二箇所に限定する予定である。現時点では、目録をはじめとして、史料の整理・分類が比較的充実しているバルセロナ市が、その第一候補である。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大により、現地調査を断念せざるを得なかった。その結果、各地の文書館で一次史料を調査・複写することができなくなっただけでなく、二次文献についての情報も乏しくなり、購入する二次文献を選出することが困難となった。また、オンライン授業の導入およびリモートワークの推奨により、所属機関の個人研究室を使用する機会が減少したため、個人研究室へのデスクトップパソコン、モニター、OCRソフトの導入は延期した。以上のような理由で、2020年度に支出を予定していた海外出張費、複写費、辞書・辞典・西洋中世史関係図書・デスクトップパソコン・モニター・OCRソフトの購入費については、その使用を見送った。 2021年度については、改めて、デスクトップパソコン・モニター・OCRソフトを購入し、個人研究室に導入する予定である。 また、スペインに渡航可能となった場合、現地で史料の調査・複写をおこない、帰国後にそれらを詳細に分析する。スペインへの渡航が不可能となった場合は、各文書館の所蔵史料目録を判断材料として、インターネット経由で古文書の複写を入手し分析する予定である。2020年度に未使用となった海外出張費、複写費、辞書・辞典・西洋中世史関係図書の購入費については、2021年度分とあわせて、上述の研究活動の費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)