2022 Fiscal Year Research-status Report
Monarch's officers and cities in the medieval Catalonia -relationship between the Monarch and cities in the 13th and 14th centuries-
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20K13226
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
中嶋 耕大 関西外国語大学, 外国語学部, 助教 (90844712)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 西欧中世史 / イベリア半島 / カタルーニャ / 君主代官 / veguer / 都市 / 君主権力 / 地方行政 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、本年度も、重点的に検討する問題(13・14世紀のカタルーニャにおいて、君主代官をめぐって君主と都市はどのような関係を構築していったのか、そして、その関係が君主が企図した権力強化にどのような影響を及ぼしたのか)に取り組む第一段階として、史料の調査・分析をおこなった。しかしながら、夏期の調査については、渡航の計画段階において、帰国時の制限が部分的に継続されていたことなどから断念した。これに伴い、調査方法とその成果・学会での成果報告については、「研究実施計画」の部分的な見直しを余儀なくされた。具体的には、2023年3月に現地調査を実施し、その他の時期には、文書館の史料目録を活用して、現地調査の際に複写・分析すべき古文書を選定し、並行して本研究課題に関連する先行研究を精読した。その結果、得られた知見は以下のとおりである。 現地調査の結果、(詳細な分析対象候補としていた)バルセロナの司法官選任をめぐる係争を伝える一連の古文書には、損傷により判読不能な箇所が多くあり、全容を解読することは困難であることが判明した。一方、史料目録の調査からは、この係争でバルセロナの都市自治体が選任に異議を唱えていたルメウ・ダ・マリモンが、その後、バルセロナの司法官として活動したことを伝える古文書の存在が明らかとなった。また、先行研究の精読により、ルメウ・ダ・マリモンが、君主の統治機構の要職を歴任した人物であり、その子孫にはバルセロナ市参事会員が複数存在することを確認した。 以上のことから、この人物は、君主とバルセロナ市のあいだの中間的な存在だった可能性があり、君主代官をめぐる君主とバルセロナ市の関係を明らかにするために、十分に検討すべき事例だと思われる。今後は、彼のより詳細な経歴、バルセロナ市の社会における地位・立場・諸関係などを把握するとともに、上述の古文書を可能な限り解読する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題の進捗状況については、大変残念ながら、「遅れている」と判断せざるを得ない。 一昨年度・昨年度に引き続き、新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大が、主として、以下に挙げる2つの側面で、当初の計画の実現を阻む要因となったためである。 まず、夏期(8月末から9月初頭)に予定していたスペインへの渡航については、航空券などの手配時期に、日本帰国時の制限が部分的に継続されていたこと・各国の感染状況の先行きが不透明であったことなどから断念したため、現地の文書館などで史料(一次史料および二次文献)の調査・複写をおこなうことができなくなったことである。 次に、所属機関において、2022年度には、一部の授業がハイブリッド形式で実施されたことにより、対面のみの授業と比較した場合、研究代表者の担当科目に関連する業務(授業・試験の内容および実施方法の見直し・調整、ハイブリッド形式の授業を運用するツールについての学習と実践、ICT分野における受講者のサポートなど)が増大し、本研究課題に配分可能な時間が当初の想定よりも減少したことである。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度・2021年度に、当初計画していた現地での史料調査が実施できず、研究計画の大幅な見直しを余儀なくされたことにより、本研究課題の進捗は遅れている状況である。そのため、対応策として、考察対象とする都市については、目録をはじめとして、史料の整理・分類が比較的充実しているバルセロナ市に限定する予定である。 さらに、補助事業期間の延長申請を予定している。(航空券代・宿泊費をはじめとする物価の上昇および円安の影響により実質的に目減りしているとはいえ)2020年度・2021年度の現地調査を断念したことにより、 交付予定額としては、少なくとも1年の期間延長は可能な状況にある。そのため、2023年度には、当初の「研究実施計画」を変更し、年度中に2回現地に赴き、各地の文書館などで史料(一次史料および二次文献)の調査および複写をおこない、帰国後にそれらを詳細に分析する。並行して、史料の分析結果を総合し、13・14世紀のカタルーニャにおいて、君主代官をめぐって君主と都市はどのような関係を構築していったのか、そして、その関係が君主が企図した権力強化にどのような影響を及ぼしたのかという問題について、仮説を立て、その成果を中間報告として所属学会などで発表する予定である。そして、2024年度以降に、最終的な研究成果を海外学会で報告し、論文として発表したい。
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Causes of Carryover |
2022年度の前半では、夏期(8月末から9月初頭)に予定していたスペインへの渡航を、航空券などの手配時期に、日本帰国時の制限が部分的に継続されていたこと・各国の感染状況の先行きが不透明であったことなどから断念したため、現地の文書館などで史料(一次史料および二次文献)の調査・複写をおこなうことができなくなっただけでなく、二次文献についての情報も乏しくなり、購入する二次文献を選出することが困難となった。これに関連して、OCRソフトの導入も延期した。以上のような理由で、2022年度に支出を予定していた海外出張費、複写費、辞書・辞典・西洋中世史関係図書、OCRソフトの購入費については、その一部の使用を見送った。 2023年度については、改めて、OCRソフトを購入し、個人研究室に導入する予定である。また、スペインで史料の調査・複写をおこない、帰国後にそれらを詳細に分析する予定である。2022年度に未使用となった海外出張費、複写費、辞書・辞典・西洋中世史関係図書の購入費については、2023年度分とあわせて、上述の研究活動の費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)