2021 Fiscal Year Research-status Report
沖積低地における縄文海進期以降の地形環境と遺跡立地の変遷についての考察
Project/Area Number |
20K13247
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 未央 弘前学院大学, 社会福祉学部, 助教 (30817060)
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Project Period (FY) |
2021-02-01 – 2025-03-31
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Keywords | 珪藻分析 / 完新世 / 縄文海進 / 地形変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は二つあり,一つは海跡湖周辺の地形環境変遷を解明すること,もう一つは地形と人々の暮らし(遺跡の立地動態)の関連性を明らかにすることである.縄文海進期以降の海跡湖の湖水環境変化と低地の拡大という地形環境変化は,縄文時代以降の遺跡の空間分布に大いに影響したことは明らかであるが,具体的に地形と遺跡の関係性を論じている研究は少ない.調査対象地域として最適な地域は縄文海進以降の堆積物の観察が良好であり,遺跡が周辺に多数立地している海跡湖周辺に求められ,本研究では石川県小松平野を対象地域としている.昨年度はおもに既存ボーリングコア資料をもとに珪藻分析を実施した.使用したボーリングコアは,木場潟周辺部と前川最下流部で得られたもので,この2地点から石川県小松平野における完新世中期ころの湖水環境変遷を推定した.それによれば,6700年前は,汽水環境が推定され,沿岸州により外洋から隔てられていたことが示唆される.その後,6500年前ころに淡水湖沼へと劇的な湖水環境変化があった.また両コア地点の珪藻分析結果が同調していることから,これらの地点間に現在発達する地形(沿岸州)は離水しておらず,海面下で高まりとして存在していたにとどまっていたことが推定される.つまり,木場潟から現在の前川の最下流部まで同様の環境の水域が広がっていたことが推定される.このような湖水環境が生じるには,両コア地点のさらに沖合に何らかの地形(沿岸州などの砂の高まり)の存在が必要となる.この海岸側に当時,発達していたと考えられる地形の存在を明らかにするために,今後,あらたなオールコアボーリング調査を実施し,詳細な発達過程を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度はコロナ禍のため,県外への出張が難しく,現地調査が実施できない状況にあった.そのため,昨年度は,これまでに収集した既存ボーリングコアから得られていた資料(堆積物)を用いて分析を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,調査地域(石川県小松市)において新たにオールコアボーリングを実施し,そこで得られた堆積物から諸分析を行うことを第一の目的としている.このボーリングを実施するためには現地調査,土地交渉,業者への発注という作業を必要としており,昨年度はコロナ禍のため現地調査が実施できなかったため,今年度に実施する.
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Causes of Carryover |
昨年度はコロナ禍のため出張ができず,旅費などの使用がなかったため.
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Research Products
(1 results)