2023 Fiscal Year Research-status Report
考古系展示施設における観覧行動分析とそれに基づく多様な「学び」の構築と実践
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20K13257
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
廣瀬 智子 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 客員研究員 (90865411)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 博物館学 / 観覧行動 / 考古資料 / 教育普及 / 来館者調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
出土遺物を主とした考古資料は、広く公開・活用されるものであり理解者の裾野の拡大が展望されるが、公開・活用の場として第一に取り上げられる展示施設において肝心の「利用者」と「考古資料」の実態について総合的に分析した事例は少ない現状にある。そうした問題意識のもと、利用者の観覧行動の調査・分析を通じて、考古資料の展示活用の現状を把握し、利用者の実態とニーズを精査・再考することを目的とする。 2023年度は、フィールドである平城宮いざない館にて過去に実施した来館者行動調査の基礎データの整理を行ないつつ、他施設における考古資料の展示手法や教育普及の事例収集に併行して取り組んだ。特に、考古資料(磚、礎石、瓦など)の単体展示および集合展示、解説パネルが来館者の興味関心を惹きつけられていない状況が、2022年度の行動調査の整理から得られた課題としてあげられるが、それらを改善すべく、ハンズオン展示と解説員との対話を重視している施設への聞き取り調査を行った。その結果、解説員の人材確保の問題や、破損の危険性から、不特定多数を対象に常時オープンにはできない事情などが課題として浮かび上がった。人員確保や解説員への指導などは、当フィールドでも困難な状況にある。そのため、当初想定していたハンズオン展示ではない別の何らかの工夫が必要であるという結論に至った。 その他、フィールドと類似した古代官衙での展示公開施設を対象に、出土資料や史跡そのものがどのような手法で紹介されているのか、パネルの解説テキスト、体験学習もしくは解説に従事するボランティアの活動実態、ワークシートやクイズ、体験学習などの教育普及、キャラクタ―の有無など、文化財活用にあたって遺跡に親しみをもってもらう取り組みについての類似点・相違点に着目して事例収集に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定していた比較検証作業が、コロナ禍の影響で数年停止していたために実施できなかった。そのため、採択期間後半(2022)から当初計画を変更し、「解説員を介さない行動」のみから得た来館者の純粋な観覧行動から導き出した課題について、他施設での教育普及の取組みの事例と照らし合わせながら「学び」の実践について検討していた。しかし、23年度の事例調査を通じてハンズオン展示が当フィールドにおいて人材的、環境的に困難な状況であることを改めて認識したことで振り出しに戻り、具体的な考案・計画にまで至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、当初予定していた比較検証作業が、コロナ禍の影響で数年停止していたために実施できなかったことから、採択期間後半(2022)から当初計画を変更し、「解説員を介さない行動」のみから得た来館者の純粋な観覧行動から導き出した課題について、他施設での教育普及の取組みの事例と照らし合わせながら「学び」の実践についてハンズオン展示を検討していた。しかし、23年度の事例調査を通じてハンズオン展示が当フィールドにおいて人材的、環境的に困難な状況であることを改めて認識した。今後は、その検討を重ねつつも「実践」に至らない場合、最終的には行動調査のデータを精査し「実践」に至るまでの過程を中心にデータとしてまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍での展示解説員の活動が停止していたことから、当初予定していた比較検証作業をすることができなかったため、当初計上していた調査員用の人件費が大幅に余っている。よって、採択期間後半から計画を変更し、「解説員を介さない行動」のみから得られた来館者の純粋な観覧行動から導き出された課題を重点的に整理・検討し、他施設との比較、事例収集を軸としている。 また、最終年度に予定していた実践として、2種類のハンズオン展示の製作を予定していたが、昨年度の調査成果から具体的な考案は行わず、引き続き、上記に示した内容を主軸にした調査を行なう予定である。
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