2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K13308
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
後藤 弘州 四天王寺大学, 経営学部, 講師 (40844494)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 死因贈与 / ローマ法 / 相続 / 贈与 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は古典期ローマの相続における贈与の役割を考察する上で、まずその考察の前提となる死因贈与の類型について考察を加え、その成果を論文として公表し、今後の研究の方向性を示した。その内容はローマにおける死因贈与は一般的には三つの類型に分けて説明されるところ、これまでの研究においては主要な形とはみられていなかった死因贈与について特に注目し、この贈与があることが理由で死因贈与と生前贈与の区別自体が曖昧なものとなってしまい、両者では特に古典期ローマにおいては適用される制限が異なっていた時代があったことから法学者たちもこの曖昧さを積極的に利用したというものである。この理解に立つと、現在まで考えられていた以上にローマの相続における贈与の役割は重いものとなり、相続に関するその他の法文理解に影響を及ぼすことになると考えられる。今述べた内容に関しては当然のことながら、これからの研究で行っていく個別のローマ法文についての考察によってさらに内容が深められていくべきものである。その考察の際には、現代の各国における死因贈与、特にヨーロッパ各国における死因贈与がローマ法における死因贈与の影響を強く受けていると考えられることから、それらの考察も必要となる。今後はまずは先行研究において取り上げられているような個別法文について考察を加えるとともに、古典期ローマ以後の不倫贈与の訴えの構造、そしてその後の現代のヨーロッパ法に至るまでの死因贈与の構造分析も必要となろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はコロナウイルスを原因とした授業負担の増加及び特に外国語資料の入手遅延に伴い、当初予定していたような研究予定の変更が迫られた。しかし研究実績の概要にも示した通り、今後の研究の方向性はひとまず示すことができている状態であり、個別法文に関する考察も現在進めているところであることから、遅れを徐々に回復できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
資料の収集の遅れを取り戻すとともに、個別法文の考察を進める。現代法における死因贈与の構造分析についても同時に行い、研究会報告などで報告する予定である。一方で国際学会(SIHDA)において報告予定であったが、コロナ禍により渡航が困難な事態が予想されることから、場合によっては予定の変更が必要であると思われる。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた書籍が入手困難であったり、コロナ禍により研究計画に若干の遅れが生じたりしたことにより次年度使用額が生じた。次年度使用額については研究計画を微修正の上で、新たに研究上必要となった文献の購入等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)