2020 Fiscal Year Research-status Report
現代的な国際取引に対する規律のあり方―CISGの対応可能性について
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20K13328
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小池 未来 富山大学, 学術研究部社会科学系, 講師 (60802270)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CISG / ウィーン売買条約 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)個別の法的問題ごとに、現代的な国際取引に対する規律として、CISGで対応することは可能かつ適切であるのか(CISGの対応可能性)を明らかにし、(2)(1)が肯定される法的問題については、CISGの規定がどのように解釈されるべきであるか(CISGのあるべき解釈)について検討をおこなった。本年度は、具体的な個別の法的問題の対象としては、契約締結過程や約款の電子化から生じる問題(例:電子メールのやりとりでエラーが発生した場合の契約の成立、ウェブサイトに掲載された約款の契約内容への組入れ)等を取り上げた。昨年度からおこなっていた研究について、論文「不適合物品が引き渡された場合における買主の救済についての一考察―重大な契約違反の要件を中心に―」(日本国際経済法学会年報29号、2020年12月)を公表し、CISGにおける契約の捉え方について示唆を得た。昨今の情勢と契約ルールとの関連から、2020年10月には、国際商取引学会第23回全国大会シンポジウム「コロナ禍と不可抗力」において報告をおこない、論文「国際取引法研究の最前線(101)コロナ禍と不可抗力~英米法の視点~」(国際商事法務49巻1号、2021年1月)を公表した。本研究課題においては当事者の意思の解釈が重要な意義を持つが、その関連で、判例研究をおこない、「渉外判例研究(689)国際旅客運送の不履行について法人格否認が主張された事例」(ジュリスト1553号、2021年1月)を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題に対し一定の研究成果は得られたが、昨今の情勢により研究を進めるにあたって支障が生じた部分があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も対外的な研究活動が制限される可能性はあるが、オンラインを活用するなどして当初の研究計画通り研究を推進したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点から、出張が中止となったり洋書の納入が遅延したりしたため、次年度使用額が生じた。次年度の関連学会の出張や資料費にあてることとする。
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Research Products
(4 results)