2020 Fiscal Year Research-status Report
アジアの農村における資金調達及び活用手段の適切性に係る実証研究
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20K13496
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
増田 里香 帝京大学, 経済学部, 准教授 (50837391)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 開発金融 / 地域金融 / 貧困問題 / 貯蓄 / 資金調達 / 農村金融 / 古文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はマイクロファイナンスにおける貯蓄の効果に特化した研究を土台として、大きく以下の2点に絞られる。 1.どのような条件のもとであれば貯蓄が機能するのかを明らかにし、さらにその貯蓄を有効に活用して資本蓄積を加速させるにはどのような条件が必要であるのかを明確にすること、 2.地域社会(コミュニティ)という括りで小規模金融を捉えた場合、それらが社会全体に与える外部性について明らかにすることである。 当初、研究実施計画として、これまで申請者が実施してきたスリランカにおける調査の継続調査を予定していたが、Covid-19の影響により渡航を断念せざるを得なかった。 一方で、アジアの貯蓄先進国(日本)の事例として、日本の農村部の明治期の貯蓄に関する文献調査及び古文書等資料を中心とした調査研究の実施も平行して予定していた。そちらについては、Covid-19禍の合間をぬって、兵庫県農村部において2度のフィールドワークを実施した。現地で保存されている歴史的編纂資料を入手、現地の市史・町史の編纂に携わった方々へのインタビュー調査も実施、今後の調査を実施していくうえでの重要な示唆を多く頂いた。古文書においては記録されている資料のなかにおいて申請者が目指すところの調査が可能であることの目途もついた。初年度である2020年度は地域社会における金融の大枠をつかみ、2021年度以降に後実施していく古文書の調査の礎を築くことができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたスリランカ農村におけるフィールドワークはCovid19による渡航制限の影響を受け実施することが叶わなかったが、その一方で、平行して進めている日本の農村部における明治期の貯蓄に関する文献調査及び古文書等資料を中心とした調査研究においては、Covid-19の感染拡大の合間をぬって調査対象地である兵庫県農村部を2度に渡って調査で訪問することができた。そこでのインタビュー調査では、本研究の目的の一つとする明治期の農村金融を調査していくうえでの多くの指針となる情報を入手することができた。また、市史・町史などの入手も整い、今後実施していく古文書調査の着眼点を整理することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度においては、スリランカ農村におけるフィールドワークを行っていく目途がたたないため、主に兵庫県農村部でのフィールドワーク及び文献調査を中心に調査の目的を遂行していく予定である。 特に、兵庫県小野市好古館において所蔵されている古文書の解読を中心に、同県加西市の古民家に保存される古文書の整理も予定する。 それらに併せて、市史・町史などの整理もさらに進めていく。 大枠では農村部の貯蓄及びそれを有効活用した資金蓄積の手法を体系化することを目的として調査を予定しているが、本年度は農村金融・経済の流れを整理することに焦点をあてて研究を進めていく予定である。 本年度中には、当研究について所属学会での発表も行うことを検討している。
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Causes of Carryover |
当初予定していたスリランカにおけるフィールドワークが延期になったため、旅費が当初の予定額を下回った。 今年度は国内におけるフィールドワークを当初予定より長期間実施していく予定のため、繰越した額は2021年度の助成金と合わせて使用していきたいと考える。
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